猫の耳がカットされている地域猫とは?野良猫を増やさないためのTNR活動
片方の耳が桜の花びらのようにカットされている野良猫を、街で見かけたことはないでしょうか。実はこの猫たちのカットされた耳は、地域猫のためのTNR活動によって、不妊手術を受けた目印なのです。今回は、「TNR」と「さくらねこ」についてお伝えします。
耳をカットされた「さくらねこ」とは
街で片方の耳が桜の花びらのようにカットされた猫を見かけたら、それは「さくらねこ」です。さくらねことは、「TNR」活動によって不妊手術を受けた猫のことを指します。動物愛護事業を行っている「公益財団法人 どうぶつ基金」が、殺処分される野良猫を少なくするために取り組んでいるのが、このTNR活動です。
そもそもTNRとは、「Trap(捕獲する)」「Neuter(不妊手術をする)」「Return(猫を元の場所に戻す)」という3ステップの頭文字を取っています。猫をけがさせないように捕獲機で捕まえてから、痛くないように全身麻酔をかけて不妊手術を行い、その後体調が回復した猫を元の場所に戻して、経過観察をします。この一連の流れによって不妊手術を受けた猫の目印として、片耳の先を小さくv字にカットしているのです。
なぜ耳をカットするの?痛くない?
どうして耳をカットするのかと言うと、既に不妊手術を受けた猫とそうでない猫を、一目で見分けられるようにするためです。もしも目印がまったくなかったら、既に手術を受けた同じ猫が何度も捕獲される恐れがあるため、猫たちにとってもリスクが高くなってしまいます。このような重複がないように、一目ではっきりと分かるよう「さくらねこ」のカットが行われるのです。
ちなみに、耳のカットは全身麻酔をかけて行われるため、猫に痛みはありません。また、出血もほとんどないそうです。初めてさくらねこを見かけた方は、耳が小さく切れているので驚くかもしれません。しかし、これは公益財団法人 どうぶつ基金によって、猫たちに痛みがないように施されたカットなので、ご安心ください。
殺処分される猫をゼロにするために
地域猫をさくらねこにするTNR活動は、野良猫の殺処分をゼロにすることを目指して行われています。実は、2014年に日本で殺処分された猫は7万9千頭にものぼります。一方、殺処分された犬は2万1千頭です。こうしている間にも、たくさんの野良猫たちが日々殺処分されているという現状があります。
これ以上、人間の手によって失われる命を減らしてゼロに近づけるためには、地域猫が子どもを産んで増えすぎないように、不妊手術を行う必要があるのです。
このようなTNR活動に対し、「野良猫を捕まえて勝手に手術するなんて…」という意見もあります。しかし、手術を受けてからも変わらずに生きられるさくらねこの数以上に、数えきれないほどの猫が毎年殺されている現状があるのです。実際、TNR活動によって少しずつ、殺処分される地域猫は減ってきています。
おわりに
片耳が小さくカットされた猫は、TNR活動によって無料で不妊手術を受けた「さくらねこ」です。このさくらねこに対する活動は、野良猫として保健所で処分されてしまう猫を減らそうという試みのもと行われています。お住まいの地域でさくらねこを見かけたら、そっと優しく見守ってあげましょう。いつも道や公園で見かけるかわいらしい地域猫たちも、子どもが増えすぎてしまうと、最終的には殺処分という悲しい結末を迎えることがあります。人間の手によって殺されてしまう野良猫をゼロにするためにも、さくらねこを優しく見守っていきましょう。
なお、TNR活動のために寄付をすることもできます。興味のある方は公式ホームページを参照して、地域猫をさくらねこにする活動を応援してみてはいかがでしょうか。
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