犬の記憶力はどのくらい?しつけを成功させる犬の長期記憶について
しつけをすればたくさんのことを覚えてくれる犬は、一般的に賢い動物というイメージがあります。しかし意外なことに、犬は必ずしも記憶力が良いとはいえないようです。
しつけを成功させるためには、犬が得意とする分野の記憶力をきちんと発揮させることが大切。今回は、犬のしつけと記憶力についてお伝えします。
犬の記憶力は良いの?悪いの?
「お手」「おすわり」などを教えると覚えてくれるため、「犬は記憶力が良い」と思っている飼い主さんは多いのではないでしょうか。しかしその一方で、何度叱っても同じ失敗を繰り返してしまうこともあります。
実は、「記憶」には「短期記憶」と「長期記憶」があり、短期記憶は一時的な記憶、長期記憶は長期間保持できる記憶のことです。犬はこの短期記憶を苦手とするらしく、短期記憶が保持できる時間は2~3秒程度とも30秒程度ともいわれています。人間の短期記憶が数10秒~数10分以上あるのに対し、犬は数秒前のことを忘れてしまうのです。
だからといって、犬は決して物覚えが悪いわけではありません。犬が賢いことは飼い主さんが一番ご存じでしょう。犬は飼い主さんの顔を忘れませんし、しつけの内容も覚えています。なぜかというと、飼い主さんの顔やしつけは長期記憶にあたるからです。
長期記憶は短期記憶の関連づけや繰り返しによって、長期間保持できるようになった記憶のこと。犬が得意なのはこの長期記憶です。犬のしつけをする場合、長期記憶のしくみを利用することがポイントといえるでしょう。
しつけ成功のカギは犬の長期記憶にあった
犬の短期記憶は非常に短いため、何が起きたのか数秒後に忘れてしまいます。したがって、犬のしつけをする際、短期記憶が消えないうちに教えることが大切。例えば、犬がトイレの場所を間違ってしまった場合、その場ですぐに叱らず30分後に叱ると、犬はどうして自分が叱られたのか関連づけができなくなってしまいます。このような犬の特徴を理解しておかないと、何度叱っても犬は同じ失敗を繰り返してしまうかもしれません。
しつけを成功させるためには、犬が言いつけを守らなかったときはすぐに叱る、犬が言いつけを守ったときはすぐに褒める、ということが大切。飼い主さんが犬の記憶力の特徴を理解していれば、しつけがグンと楽になります。
犬を幸せな長期記憶で満たしてあげよう
突然、嫌なことを思い出して暗い気分になった経験がある人は多いと思います。これは犬にとっても同じこと。人間に傷つけられたり、怖い思いをしたり、嫌な経験は長期記憶として残る場合があります。人間に捨てられた犬が保護された後に人間を怖がるようになるのは、犬が捨てられた経験を記憶しているためです。
また、人間にかわいがられた経験も犬にとって長期記憶になります。特に一緒にいる時間が長い飼い主さんの情報は、かわいがってもらった多くの経験と関連づけられ、長期記憶として定着するのです。
犬のしつけをする際、犬が命令通りに行動できた直後にご褒美を与えるようにすると、犬は自発的に命令通りの行動をとるようになります。ご褒美は犬が喜ぶものなら何でも良いでしょう。大好きなおやつをあげる、遊んであげる、なでてあげる、という行為を繰り返すことで、長期記憶として犬の記憶に残るようになるのです。
犬の長期記憶は10年以上保持されるといわれています。長い間一緒に暮らすわけですから、犬を幸せな記憶で満たしてあげたいですね。
おわりに
今回は、犬の記憶力についてお伝えしました。
一般的には賢いイメージのある犬ですが、意外にも短期記憶はかなり短い時間しか保持できません。したがって、犬のしつけを成功させるためには、犬の記憶が消えないうちに叱る・褒めるなどのアクションをすることが大切。犬が短期記憶を覚えているうちにしつけを繰り返し、長期記憶として定着させる方法がベストです。犬の記憶力について理解し、効率良くしつけをしてあげましょう。
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