春に気を付けるべき猫のくしゃみと鼻水
春になると急に暖かくなったり、寒さがひどくなったりと寒暖差が出るために、身体にストレスがかかり猫にくしゃみや鼻水が増える傾向にあります。
多くはネコ風邪と呼ばれるウイルス性のくしゃみや鼻水、涙が多いのですが、アレルギー性鼻炎になっている猫もいます。
また、風邪かと思っていたら歯周病から来るくしゃみや鼻水ということもあります。
猫のくしゃみや鼻水も、悪化してしまうと鼻がつまって食欲が低下してしまうこともあるため侮れません。
特に免疫力の弱い子猫や老猫、持病のある猫ではくしゃみや鼻水でも受診が必要と知っておきましょう。
愛猫のくしゃみと鼻水の受診の目安
愛猫がくしゃみをしているな、と思っていたら鼻水も増えてきて治らない、という経験はあるでしょうか?
猫も鼻に刺激があればくしゃみが出て、鼻水も出るので、それが病的なものなのか、受診が必要なのかの判断はなかなか難しいものです。
基本的には、何か一過性の刺激でくしゃみや鼻水が出る場合には、1日だけの出来事で終わります。
それが2-3日はくしゃみをしている、鼻水も出ている、となった場合には何かしらのトラブルが起きていると考えます。
さらに、悪化傾向があり、初日よりも2日目の方がくしゃみが増える、3日目は鼻水も増えて涙目にもなるという場合には病的な可能性が高いので、受診が必要と判断しましょう。
猫の食欲を大きく左右するものは、食べ物の匂いであると言われています。
そのため、猫の鼻づまりは食欲の低下を起こしてしまうことがあります。
くしゃみが出て食欲が低下するようであればすぐに受診しましょう。
病院で受ける検査
愛猫がくしゃみや鼻水があって受診すると、どんな検査が待っているのかご紹介していきます。
基本的には以下のような検査を順番にしていくことが多いです。
<実施される検査>
・身体検査
・鼻汁検査
・血液検査
・感染症検査
上記の検査を必ず全部やるということではなく、診察した獣医師が必要性に応じて追加していくことが多いです。
今までの経歴から、原因が推測出来る場合には、先に治療から入ってみて反応をみることも多いです。
ではそれぞれの検査について詳しく解説します。
■身体検査
動物病院に行って、一番最初に受ける必須の検査が身体検査です。
体重や体温を測り、今までの記録と比較して変化が無いのかみます。
次に視診(見る)と触診(触る)で、目の赤みや歯肉炎の有無、触れるリンパ節に異常がないかを確認します。
さらに心臓の音、呼吸の音なども聴診器で聞いて、変な音が無いのかを確認します。
特別な検査ではないものの、これらから得られる情報はとても大切です。
発熱がある、リンパ節が腫れている、痩せすぎている、鼻水は片側からだけ出ている、などの所見があれば、さらに必要な検査を追加していきます。
■鼻汁検査
鼻水にはどのようなばい菌がいるのか、細胞が出ていないのか、などを確認します。
透明なサラサラの鼻水なのか、あるいは粘りのある白濁した緑の鼻水なのかを見て、必要であればさらに詳しく、ばい菌がたくさんいるのか、出血や細胞が多く入っていないかを顕微鏡で見ることもあります。
一般的な判断では、サラサラの透明な鼻水はウイルス性やアレルギー性のものが多く、ねばついた鼻水は細菌性の原因が考えられます。
しかし単独の原因ではなく、それらが複合していることも多く、鼻水の見た目からの判断だけでは原因を特定することは難しいです。
■血液検査
発熱や食欲不振、体重の減少があった場合には、全身状態の確認のために血液検査を実施することが多いです。
血液検査でくしゃみや鼻水の原因を特定できるわけではありませんが、内臓に負担がかかって体調不良があり、免疫力が低下してくしゃみや鼻水の症状も出ていることがあるためです。
発熱がある場合には、白血球の数値を見て異常に高くなっていないかを確認します。
元気や食欲が無いときには貧血などがないかも念のために見ておきます。
他にも肝臓や腎臓の値に問題がないか、たんぱく質はしっかりとあるかなどを見て、もし異常があれば、くしゃみや鼻水の治療とともに、見つかった問題についても治療しなくてはいけません。
もし血液検査で問題がなければ、基本的には全身的な状態には異常がないということになるので、鼻周囲のみに問題が限局していると判断できます。
■感染症検査
今までにくしゃみや鼻水の治療をしてきているが、それでもいまいち治らないというケースでは、より詳しい感染症の検査を行うことがあります。
<代表的な感染症の検査>
・細菌培養と感受性試験
・猫の上部気道感染パネル(PCR検査)
もし膿のような鼻水が出ている場合には、細菌感染が原因の可能性が高いので、細菌培養し感受性試験というものを実施します。
鼻水を少し採取して、それに含まれる細菌を増やして、細菌の種類を特定し、効果のある抗菌薬(抗生物質)を調べるというものです。
だいたいは採取した鼻汁を検査センターに提出して、検査結果が出るまでに数日はかかります。
動物病院内で検査を実施する場合にはもう少し早く結果が出ます。
細菌だけでなく、ウイルス性の可能性も高いと判断すると、鼻水に含まれる感染源の遺伝子検査(猫の上部気道感染パネル)を行います。
いわゆるPCR検査と言われるもので、鼻汁や喉、瞼の内側の拭い液(ぬぐいえき)を検査センターに提出すると、その中に含まれる代表的な猫の感染症にかかっていないかを判断できます。
ウイルス性のくしゃみと鼻水
上記までの検査で、抗ウイルス薬が効くタイプのウイルス感染だと判明すると、抗ウイルス薬の入った点眼点鼻薬が処方されます。
目薬や鼻に入れるお薬で良化しなければ、飲み薬で抗ウイルス薬が処方されます。
抗ウイルス薬はどれも高価なので、特定のウイルスがいると検査で判明してから使用されることが多いです。
アレルギー性のくしゃみと鼻水
感染症の検査で、何も陽性にならず、何も感染していないのに症状が出ているケースや、あるいは慢性的にくしゃみや鼻水があり、何度も繰り返して治りにくい状態にある時には、アレルギー性の症状だと判断されます。
この場合、アレルギーを抑える治療がメインとなりますので、抗炎症薬が処方されます。
抗炎症薬は、吸入タイプや、点鼻薬などの鼻に限局して作用するものと、飲み薬で全身的に作用が出るものがあります。
吸入タイプや点鼻薬で治療効果が高いのであればそれが一番ですが、皮膚や肺、お腹の調子にもアレルギーの症状が出ているなど、全身的に高価のある飲み薬がどうしても必要なケースもあります。
歯周病が原因のくしゃみと鼻水
鼻が問題ではなく、実は歯に問題があってくしゃみや鼻水がでているケースもあるので注意が必要です。
この場合、抗生物質を飲めば一時的に良くはなるのですが、根本原因は歯の根が腐っていることなので、その歯を抜かなくては完治しません。
身体検査で歯石や歯肉炎が酷いと判明した時は、歯についても検査が必要になってくると知っておきましょう。
まとめ
春は気温の上下が激しく、体にストレスがかかるために猫が体調を崩して、くしゃみや鼻水が増える傾向にあります。
一番の原因は免疫力の低下ですが、子猫や老猫、持病のある猫では免疫力をあげるというのも難しいため、早めに受診して頂くのが良いでしょう。
治療薬で早く良くなる場合と、いくつかの検査が必要になる場合も多いです。
鼻がつまってしまうと猫の食欲が低下することがあるので、くしゃみや鼻水もしっかりと治療しましょう。
松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ
最新記事 by 松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ (全て見る)
- 猫の便秘に要注意!予防と対策を知ろう - 2024年11月21日
- 犬猫の療法食の効果と意外な落とし穴とは? - 2024年11月11日
- チワワの子犬が家にやってきた!こんな時どうする? - 2024年11月8日