肥満の中年猫は糖尿病になりやすい!糖尿病のサインとは
室内飼育で食べることしか楽しみのない猫は、どうしても肥満になりやすい傾向にあります。
飼い主さんも愛猫が喜ぶのでついつい近寄っておねだりされるとオヤツやごはんをあげてしまいます。
しかし肥満になった猫は、とても糖尿病になりやすいので注意が必要です。
この記事では、猫の糖尿病に気づくためのサイン、猫の糖尿病の検査、治療、糖尿病にならないための予防についても解説します。
猫の糖尿病のサイン
糖尿病とは、インスリンという体内のホルモンが足りずに血液中の糖分(血糖値けっとうち)が高くなりすぎている状態が続いてしまう病気です。
膵炎や腎不全、感染症が併発していることも多いです。
猫が糖尿病になると、どんな症状が出るのかといえば、一番最初に出るのはお水をたくさん飲んで、たくさんのオシッコを出す、というものです。
しかし飲水量や排尿量は、毎日少しづつの変化になるため、飼い主さんも気づけないことが多くあります。
次に出てくる症状は吐き気や食欲不振です。
さらに進むと、痩せて、元気が無い、ぐったりするという症状になります。
糖尿病が無治療のまま放置されると、痙攣(けいれん)などが出て命を失います。
<猫の糖尿病のサイン>
・お水をたくさん飲む
・オシッコもたくさん出る
・吐き気が出る
・食欲が減る
・痩せる(やせる)
・元気がなくなる
・ぐったりして動かない
・痙攣(けいれん)がでる
上記のサインは下にいくほど重症で命にかかわります。
できれば「お水を飲む量が増えてきた」、という時点で検査ができると良いです。
愛猫の飲水量と排尿行動はいつも目を光らせておきましょう。
猫の糖尿病の検査
糖尿病は異常に血糖値(けっとうち)が高い病気です。
正常な血糖値は100前後なのですが、糖尿病の猫の血糖値は500を超えていることもざらにあります。
そのため血液検査をすると糖尿病であることが解ります。
さらに、名前の通りにオシッコに糖分が出ていれば糖尿病です。
正常であれば、オシッコに糖分は出ません。
高血糖でしかも尿検査で、尿糖(にょうとう)が+と出れば糖尿病です。
<糖尿病がわかる検査>
・血液検査で血糖値を測定
・尿検査で尿糖を確認
糖尿病がわかったらそこで終わりではありません。
なぜ糖尿病になってしまったのか、原因を見つけることが大切なのです。
実際、ちょっとぽっちゃり、あるいは日本猫なのに8㎏のワガママボディー(つまり肥満)の猫であってもみんなが糖尿病になるわけではありません。
肥満はもちろん糖尿病になりやすい要素の一つなのですが、そこに更に何かの一押しがあって猫は糖尿病になります。
その一押しになりえるものは以下の通りです
・膵炎(すいえん)
・細菌感染
・免疫異常の治療(ステロイド治療)
特に免疫の異常(アレルギーや腸炎など)があってステロイドの治療が長くなっている猫では、ステロイドによって糖尿病になってしまうこともあります。
<糖尿病がわかったらする検査>
・全体的な血液検査
・尿検査(ばい菌がいないか)
・レントゲン検査
・エコー検査
猫の糖尿病の治療
猫の糖尿病の治療は、血糖値を下げること、隠れた病気をおさえることがメインです。
どれだけ重症な状態で治療が始まるのかによって、治療方法は大きく違います。
ただ、近年はいちいち採血をしなくても血糖値がつねに測定できるセンサーを猫に取り付ける治療ができるようになったので、家での治療も以前よりは安全に行うことができるようになりました。
ごく軽度に血糖値が高い、食欲もある猫
食欲がしっかりとあって、血糖値はたしかに少し高いけれど、その他に問題がない、という場合は、まずは食事療法から開始されます。
人間と同じで、暴飲暴食を止める、という治療です。
まず、血糖値が上がりにくい特別な治療食に変更します。
血糖値があがりにくい治療食は、食物繊維が豊富で、肥満撃退食でもあります。
そのため、血糖値を上げず、さらに徐々に肥満も治していきます。
いつもは美味しいオヤツと市販の食事だったから、食べない!と言われる場合も多いですが、そんな時は美味しいウエットフードの糖尿病治療食を試しましょう。
缶詰やパウチ、トレーなどがあり、味もチキンやツナなど色々なものがあります。
食事管理をしてもやはり血糖値が高いという場合には、猫の体表に血糖値センサーを付けて、インスリンの注射が治療に追加されます。
<糖尿病の治療食の代表例>
・w/d(ヒルズ)
【獣医師監修】松波動物メディカルのおすすめ商品はこちら
【獣医師監修】松波動物メディカルのおすすめ商品はこちら
【獣医師監修】松波動物メディカルのおすすめ商品はこちら
明らかに高血糖で食欲がない猫
血糖値が500前後で、食欲が無い場合は入院治療となります。
食欲がない糖尿病の猫には、家でインスリンの注射を打てないため、病院でインスリンを点滴で流し、正常なところまで血糖値をゆっくりと下げていきます。
また、だいたいの場合は肝臓や腎臓の数値も悪いことが多いので、そちらのケアも同時に行います。
細菌感染があることも多いので、抗菌薬での治療も追加されます。
治療して数日で食欲が回復してくれば、徐々に持続点滴のインスリンから、単発の注射でのインスリン治療に切り替えます。
ある程度食べる量が増えてきたら、家でのインスリン治療へ進みます。
重度に高血糖で食欲なく、ぐったりしている猫
多くの糖尿病の猫はこの状態で病院に来ます。
ぐったりしているのは、血糖値が高い時間が長すぎて、糖尿病性ケトアシドーシスという状態になっているためです。
糖尿病性ケトアシドーシスは、死亡率も高い怖い状態です。
また、食べなくなる前は太っていたという猫の場合は、さらに肝リピドーシスという肝臓に脂肪が溜まってしまう状態になっていることも多く、こちらも死亡率が高い怖い状態です。
治療は入院で点滴治療が開始され、何度も血糖値、カリウム、リン、カルシウムの状態を血液検査で把握しながら焦らず、しかし迅速に治療します。
また同時に腎不全になっていることも多いために、オシッコの量を計測し、オシッコが減りすぎていないかも確認します。
食欲はまったくないため、鼻から細い管を入れて、ごくごく少量の栄養を食道や胃に流します。
糖尿病性ケトアシドーシスと肝リピドーシスになっている猫の入院で、面会にいらした飼い主さんは、点滴の管や鼻のチューブ、尿計測のチューブなどたくさんの管につながれてしまった愛猫の姿に心を痛められる方も多いです。
それでも、猫の生きる力を医療で支えることによって、ちゃんと退院までこぎつけるケースも多いです。
<猫の糖尿病性ケトアシドーシスと肝リピドーシス>
・太っていた猫に多い
・命が危ない状態
・点滴治療が必須
・栄養チューブも必要
・入院中は管が多い
猫の糖尿病の予防
猫の糖尿病の予防で大切なのは、肥満にさせないことが一つです。
血糖値を上げにくい食物繊維の多い治療食は、肥満防止と糖尿病の防止にも効果的です。
また筋肉量の低下も問題になるので、日頃から愛猫と遊ぶ時間も取るようにしましょう。
定期的な健康診断もとても有効です。
かなり初期の段階で糖尿病の可能性が解れば、猫の場合は食事療法だけで管理することも可能なケースがあります。
家でチェックできることは、体重の測定と、飲む水の量、オシッコの多さも見ておきましょう。
オシッコの検査のしやすさから、システムトイレも一つ置いておけると良いです。
まとめ
糖尿病は怖い病気です。
それは人も猫も同じです。
肥満であるということも人と同様に猫の糖尿病のリスクを上げます。
肥満にさせないために、食物繊維の多い減量フードを獣医師に相談してみましょう。
また、早期発見・早期治療のためには、定期的な健康診断をうけることが大切です。
オシッコの検査では家での採尿が必要になるので、システムトイレも導入しておけると採尿が簡単になります。
体重や飲水量、オシッコの量などを把握して愛猫の変化に気づけるようにしましょう。
松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ
最新記事 by 松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ (全て見る)
- 愛犬が抱き上げたらキャン!と鳴いたことはないですか? それは痛みのサインかも - 2024年12月19日
- 肥満の中年猫は糖尿病になりやすい!糖尿病のサインとは - 2024年12月13日
- 飼い犬に手を噛まれる!柴犬に多いって本当? - 2024年12月9日