2025.02.17健康 , 動物病院 , 食事

猫にも食物アレルギーがある?症状と注意点について

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Hungry cat sitting next to bowl of food at home kitchen and looking at camera.

猫にも食物アレルギーはあります。

しかし猫の食物アレルギーは有名ではないため、なかなか気づかれずに長年放置されていることが多いです。

猫の食物アレルギーの症状は様々ですが、吐き気や下痢、皮膚の痒みとして出てくることが多いですが、咳や鼻水など呼吸器にも症状が出るケースもあります。

猫の食物アレルギーは検査することが難しいため、基本的には治療をしてみて、その反応を見ながら診断していきます。

この記事では、猫の食物アレルギーの正しい知識と、フードの選び方、注意するべき点について解説します。

 

猫の食物アレルギーとは

猫の食物アレルギーは、人や犬の食物アレルギーと同じで、食べたものが体内に入ると、それを悪いものと体が勘違いして、免疫が過剰に反応してしまう状態です。

免疫が過剰に反応すると、炎症が強く出ます。

炎症とは、赤み、腫れ、痒み(痛み)、熱感、機能障害が特徴で、食物アレルギーではこれらの症状が強く出てしまう、ということです。

食物アレルギーがある猫では、花粉やハウスダストなど環境要因でもアレルギー反応が起きやすいと言われています。

そのため、食べ物だけ気を付ければ治るというものではありません。

アレルギー体質という特質を持っているので、治すというよりは上手く付き合っていく、という認識でいましょう。

 

気づいて欲しい!猫の食物アレルギー症状

猫の食物アレルギーの症状は、慢性的な下痢、吐き気が多いです。

食べたものに反応して、食べ物を体外へ出そうとしてこれらの症状が出ます。

しかし、便秘と下痢を繰り返すという症状も出ることがあるので、便通が順調ではない、というのが食物アレルギーの症状と言えるかもしれません。

また耳や顔、頭、首、顎下などに、赤いツブツブや舐め壊しなどが出来て治りづらい、という時も食物アレルギーが関連しているかもしれません。

猫のアレルギー症状は首から上の皮膚に出やすいという特徴があります。

アゴニキビも治りが悪い時、繰り返す時には食物アレルギーが関連しているケースが多いです。

猫の皮膚病はアレルギーが原因かもしれないと知っておきましょう。

他にも猫のアレルギーは呼吸器に出やすく、くしゃみ、咳、鼻水という症状が出ます。

食物アレルギーが関連している可能性と、ハウスダストや花粉に反応している可能性があります。

 

<猫の食物アレルギーに多い症状>

・下痢、嘔吐

・皮膚の痒み、赤み

・くしゃみ、咳、鼻水

 

猫の食物アレルギーの検査

猫は正確に診断できる食物アレルギーの検査というものがありません。

血液検査でアレルギー検査というものはあるのですが、実際の症状と検査結果が一致しないことも多いので、あくまでも参考程度にしかなりません。

では食物アレルギーかどうかの判断はどのように行うのでしょうか?

まずは除去食試験(じょきょしょくしけん)というものが推奨されます。

この除去食(じょきょしょく)とは治療食の一つで、アレルギーの原因となるアレルゲンを最低限に減らした食餌です。

獣医師の指示に従って処方される食餌で、各メーカーから複数出されています。

この除去食と水だけを食べるようにして、1か月ほどして、アレルギー症状が軽減するのかを確認します。

この除去食試験の難しいところは、厳密に実施するのが難しいところと、判断まで1か月も時間がかかるところです。

そのため、除去食試験を実施しつつ、アレルギーを抑える治療も同時に始めてしまうことも多いです。

つまり診断が確定することよりも、症状を抑えることを優先にして治療を進めるということです。

 

<食物アレルギーの治療食の代表例>

・z/d(ヒルズ)
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猫の食物アレルギーの治療

アレルギー症状は、治療しなければだんだんと悪化していきます。

そのため、食物アレルギーを疑うような症状、つまり慢性的な下痢や吐き気、皮膚の痒みなどがあるなら、治療を開始しましょう。

口から入るものをアレルギー用の除去食と水のみにするのは、アレルギー治療の一番の柱です。

しかし、それだけでは抑えきれない症状もあるため、アレルギーによる炎症を抑える治療も併用されることが多いです。

猫のアレルギー治療で多く使用されるのはステロイドとシクロスポリンです。

両方とも、免疫を調節して抑える効果があります。

 

ステロイドは怖い薬?

ステロイドと聞くと、何か怖い!副作用があるのよね?という飼い主様は多いです。

しかし、ステロイドは上手に付き合えばとても効きが良い薬です。

もちろん長期に使用する副作用として、糖尿病や膀胱炎になりやすいというデメリットはありますが、猫は副作用が出にくい動物でもあるので、他の動物よりもステロイドが使用されることは多いです。

もちろん、たくさんの量を長期にわたって使用するのは、体に負担がかかることがあります。

そのため定期的な検査や、あるいは高価ではあるものの副作用の少ないシクロスポリンを使用して、ステロイドの量を減らすことも大切です。

 

お薬を飲ませる時のポイント

食物アレルギーは治る病気ではなく付き合っていく特性です。

つまり治療の終了はありません。

そのため投薬も基本的には終了ということはなく継続されるものであり、休薬する期間があっても再開することも多いです。

そこで大変になるのが、毎日のお薬の飲ませ方です。

お薬を飲ませる工夫として多いのが、おいしいオヤツや投薬用オヤツにくるんで飲んでもらうという方法ですが、食物アレルギーの場合、そのオヤツが痒みの引き金になりかねません。

まずは、オヤツを使って飲ませても良いか、担当の先生に確認しましょう。

 

次に、除去食フードには缶詰タイプもあるので、その缶詰に混ぜて食べてもらうのも良い方法です。

除去食の缶詰にお薬を入れて、気づかずにお薬も食べてくれれば一番ストレスなく、アレルギーも起こさないので安心です。

お薬を混ぜると気づいてしまって食べない、という場合には最終手段としてお薬を口の奥に入れてゴクっと飲んでもらいます。

これはなかなか難しく、やろうと思ってもすぐにできるものではありません。

猫の顔を上に向けて、口を開けて、のどの奥にポトっとお薬を落とし、素早く口を閉じてのどを撫でて飲んでもらいます。

 

そして猫は喉(のど)や食道(しょくどう)にお薬が張り付きやすい動物です。

お薬が喉や食堂に張り付いたままでは、その場所に炎症が起きてしまうこともあります。

そのため、お薬を飲ませたあとは、お水を飲ませるかご飯を食べてもらって、胃までお薬を落とすようにしましょう。

<猫にお薬を飲ませるポイント>

オヤツを使ってよいか担当医に確認する

・除去食の缶詰にまぜる

・お薬だけで飲ませるのは難しい

・お薬を飲ませる方法を動画で見る

・飲ませたあとはお水かご飯をあげる

 

まとめ

猫に食物アレルギーはあり、慢性的な下痢や嘔吐などが見られます。

また皮膚炎として食物アレルギーが出てくることも多く、猫の痒みでは食餌の変更は大切な治療の一つです。

アレルギーは体質なので、治るということはなく、上手くその体質と付き合っていくという認識でいましょう。

そのためには、食餌を除去食にしたり、飲み薬を使用します。

飲み薬は基本的には続けることが多いので、お薬の飲ませ方で苦労される方が多いので、除去食の缶詰や使えるオヤツなどを担当医に確認するようにしましょう。

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松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ

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わたしたちは創立1974年以来、愛知県名古屋市内で動物病院ペットの健康管理をトータルサポートし続けています。当院は犬・猫をはじめとする小動物の診療を主体として、トリミング、しつけ教室、ペットホテル、通信販売など、さまざまなペットケアサービスをワンストップで展開しています。