猫は痛いとどうなるの?痛みの原因とサインを知ろう
猫は本能的に痛みを隠す動物ですので、飼い主さんも飼い猫がつらいのかがわからないことが多く「うちの猫が痛がっているのかわかりません」とよくご相談を受けます。
野生では弱みを見せることが敵に狙われるリスクにつながるため、飼い猫になってもその習性は変わっていないのでしょう。
そのため、猫は特に飼い主さんが気づかないうちに病気やケガが進行してしまうことも少なくありません。
気づかれないことが多いですが、猫も痛みを感じていないわけではなく、よく観察すると行動や仕草に小さな変化が現れています。
飼い主さんがいち早くその変化に気づき、適切なケアをすることが愛猫の健康を守るためにとても重要です。
この記事では、猫が痛みを感じたときに見せるサインと、どのような原因で痛みが出るかについて詳しく解説します。
猫が痛みを感じているときのサイン
猫は痛みを我慢することが多いため、 わかりやすく鳴いたり、苦しそうな様子を見せることは少ないです。
しかしよく観察してみると行動・表情・鳴き声・食欲などに変化 が現れることがあります。
猫の行動の変化
全身的に痛みやダルさがある場合には、猫はじっとして動かなくなります。
できるだけ動かないことで猫は痛みを和らげようとしているので、普段は元気に歩き回っている猫が、ずっと寝ている・隠れている場合は注意が必要です。
また猫は痛みのある場所を触られるのを嫌がることが多いです。
普段は甘えん坊なのに、急に触られるのを嫌がったり撫でようとすると逃げるようになった場合、 愛猫はどこかに痛みを感じている可能性があります。
特定の場所を触ると猫が怒るという場合は、その部位に痛みがあるのかもしれません。
そして猫は痛みを感じる場所をしきりに舐める習性があります。
傷がある場合だけでなく、関節痛や内臓の痛みがある場合も、その部位を舐め続けることがあります。
猫にトイレの失敗が増えた場合も痛みのサインかもしれません。
トイレでオシッコをすることに痛みを感じると、 排泄を我慢したり、トイレを怖がるようになったりすることがあります。

<猫の行動に出る痛みのサイン>
・動きが減る
・触られると嫌がる
・しきりと舐める場所がある
・ジャンプしない
・階段を上らない
・トイレの失敗
猫の表情や仕草の変化
猫の目にトラブルが出ている場合は、目を細める・まばたきが増えるというサインが出ます。
目が開きづらそうに細められていたり、頻繁にまばたきをして、涙が増えるというサインです。
特に目の病気や耳の痛みがある場合に見られることが多いです。
猫のヒゲは猫の感情で向きが変化します。
猫のヒゲは、ワクワクしたり興奮している時は前向きですが、痛みや不快感を感じると後ろ向きに引かれる ことがあります。
口の中に痛みがある場合、口を開けたままにする、よだれが増える、食べ物をこぼす などの症状が現れます。
口が痛い時には毛づくろいも減るので、毛束が増えた時には注意です。
特に10歳を超えるころには口のトラブルが増えてくるので、痛みのサインを見逃さないようにしましょう。
<猫の表情やしぐさに出る痛みのサイン>
・目が閉じがち
・涙が増える
・ヒゲが下がったまま
・よだれが増える
・食べこぼす
・毛づくろいしない
鳴き声の変化
猫の鳴く頻度が減る、あるいは増えるというときにも、それは痛みのサインかもしれません。
猫は痛みを感じると、 普段より鳴かなくなることもあれば、逆に鳴くことが増えることもあります。
・ 鳴かなくなる → じっとして痛みに耐えている
・ 大きな声で鳴く→強い痛みがある
「うーっ」と低い声でうなる場合や、 今まで聞いたことのない声で鳴く 場合にも、強い痛みを感じている可能性があります。
<猫の鳴き声に出る痛みのサイン>
・鳴かなくなる
・大きな声で鳴く
・低い声で鳴く
・今までの鳴き方と違う
食欲や水分摂取の変化
猫がご飯を食べたがらない場合、 口の中の痛みや内臓の病気の可能性があります。
あるいは水をほとんど飲まなくなるのは体を動かすことも出来ないような重症なのかもしれません。
お水が飲めないと脱水症状のリスク があり、さらに病状が悪化してしまいます。
食べ方が変わる(片側だけで噛むなど)のも猫が痛みを感じているサインです。
片方の歯しか使わなくなったり、食べこぼしが増えたりする場合は、歯の痛みが原因かもしれません。
原因から見た猫の痛みとサイン
次に、どのような原因がある時に猫が痛みのサインを出しているのか、詳しく解説します。
外傷(ケガ)による痛み
猫はケガをしていても飼い主さんに気づかれるのが遅くなる傾向があります。
・噛み傷・引っかき傷(他の猫や動物とのケンカ)
・巻き爪(伸びすぎた爪が肉球に刺さっている)
・爪の損傷(爪が抜ける、折れる)
噛み傷などは特に皮膚の下で飼い主さんが気づかないことが多いですが、見えないところで細菌が増えて膿(うみ)が大量に溜まっている場合があります。
この場合、最初に飼い主さんが気づくのが行動の変化、痛みのサインです。
前述したような痛みによる行動が出ていないか、慎重に観察することが大切 です。
関節や骨のトラブルによる痛み
特に シニア猫(高齢猫)では、関節炎や変形性関節症 などの慢性的な疾患による痛みがよく見られます。
関節や骨に痛みがあると、動きたがらなくなり、じっとしている時間が増えることが特徴です。
この痛みのサインは、だんだんと進んでくるため「年をとってきたからかしら?」と飼い主さんが加齢のせいだと思ってしまうことが多いです。
しかし、痛みが原因であることを知っていれば、痛み止めや抗炎症成分のサプリメント、段差を無くした環境などを愛猫に提供することができます。
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内臓の病気による痛み
猫が内臓の病気を患うと、その部分に痛みを感じることがあります。
代表的な疾患として、尿路結石、膵炎、胃腸の炎症、がんなどがあります。
・お腹をかばうような姿勢をとる
・背中の毛をむしる
・お腹に舐めハゲができる
・食欲不振・体重減少
・嘔吐や下痢が続く
猫は痛い部分を舐める傾向にあるので、中高齢で舐めてハゲが出来た時にはそれは痛みのサインかもしれない、と考えましょう。
口腔内のトラブル(歯や歯ぐきの痛み)
猫も中高齢になると歯周病や口内炎など、口の中の病気が増える動物です。
口の痛みがあると、食事の仕方や顔の動きに変化が現れます。
・ ご飯を食べるのが遅くなる・食べたがらない
・口を気にして前足でこする
・よだれが増える・口臭がきつくなる
・歯ぎしりをする
歯周病が進行すると、痛みのせいで食欲が落ち、体重が減少する原因になります。
また、口の中の細菌が血流にのって全身に広がり、腎臓病や心臓病を引き起こすこともあるため注意が必要です。
皮膚の炎症やアレルギーによる痛み
猫は皮膚に炎症が起こると、強いかゆみや痛みを伴うことがあります。
・皮膚が赤くなる・かさぶたができる
・かゆみのためにしきりに舐めたり噛んだりする
・毛が抜ける・脱毛部分ができる
猫の皮膚のトラブルは体質が原因であることが多く、犬と異なり細菌感染などではおきません。
一度炎症が強く出てしまうと、掻き壊しや舐め壊しによって、元の皮膚に治るのに時間がかかってしまいますので、上記のサインが出ていたらすぐに動物病院へ行きましょう。
猫の痛みを見逃さないためにできること
猫の小さな変化を見逃さないためには、 普段の様子をしっかり観察しておくことが大切 です。
さらに猫は病気を隠すのが得意なので、 健康診断で早期発見することが重要 です。
猫の性格にもよりますが、最低でも年1回、7歳以上であれば年2回の健康診断がお勧めです。
「いつもと違うな」と感じたら、 できるだけ早く動物病院で診てもらいましょう。
まとめ
猫は痛みを言葉で伝えられないため、 行動や仕草の変化を観察することがとても大切 です。
また猫は痛みを隠す傾向にあるので、痛みのサインを知ることでしかその辛さに気づけません。
愛猫の辛さに早く気づいて、早く受診できることが理想です。


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