ネコちゃんに多い病気(異物誤食のこと:後半その1)
これら2つ写真は、超音波検査所見です。それも代表的な所見でして、上の写真は通称“アコーディオンサイン”といいます。ちなみに異物の正体は“紐”でした。
また下の写真は、腸重積。異物が入ってしまってハリがなくなってしまったことで(他にも要因はありますが)、後ろの腸に前の腸が入り込んでしまう病態のことを腸重積といいます。これらアコーディオンサインや腸重積が認められた場合は、高確率で手術適応になってきてしまいます。ですので、私たち獣医師は、このサインや病態が認められた場合は、非常に緊張感を持ってお話しているのです。
またこの写真は、“紐状”異物による腸閉塞を起こしたCT検査画像です。赤矢印のところは実は腸穿孔(腸が破れている)が起こってしまっています。このような状況では、即手術が適応となります。また超音波検査のところでも説明したアコーディオンサインはCT検査でも同様に認められますが、正確に言うと“コルゲート”という病態のこと指します。またこのCT検査所見では、実際に腸管内に何箇所もの白く光る異物が確認できます。この異物の正体は“紐状”異物と“プラスチック”異物でした。紐がプラスチックに絡まり、腸閉塞、腸重積、腸穿孔を引き起こしてしまい、急性腹膜炎も同時に起こしている超重症症例になります。
今回は(後半その1)、『異物誤食』の動物病院でどのように診断されているのか?をいくつかご紹介させていただきました。症状が出てから動物病院に行き、診察にてレントゲン、超音波検査、さらにはCT検査(これは手術を前提に麻酔下にて)などを駆使して、異物の有無を、さらには場所の特定を、そして他の合併症の有無など(これはCT検査が一番優れている)を特定していきます。次回(後半その2)では、どのように治療するのか?に触れていきたいと思います。
松波動物病院メディカルセンター
獣医師 松波登記臣
獣医師 松波登記臣
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