ネコちゃんに多い病気(泌尿器のこと:後半)
こんにちは!松波動物病院メディカルセンター獣医師の松波登記臣です。今回は『ネコちゃんに多い病気(泌尿器のこと:後半)』をお届けします。前半部分では、『特発性膀胱炎』のことやその原因、さらには診断方法についてご紹介させて頂きました(→前回の記事はコチラから)。今回の後半は、主に『特発性膀胱炎』の治療についてご紹介します。
5. 『特発性膀胱炎』の治療法は?
まず行うべきことは、ストレスが関係しているのならストレスの原因を絶たなければいけません。仮に仲が悪いネコちゃんが原因だった場合、さすがに互いを隔離することは出来ませんから、お家のなかの環境を見直してみるのもいいかもしれません。
- まずはかかりつけの動物病院を受診しましょう。頻尿や血尿が出た場合は、検査のところでも触れましたが、まずは鑑別診断を受けてください。また『特発性膀胱炎』は痛みも伴う場合があります。そのような場合は、痛み止め(何種類かありますので獣医師からの処方に従ってください)が処方されます。またストレス時に、抗不安薬も適用になる場合もあります(あくまでも補助的な治療法になります)。
- ネコちゃんが過ごしやすいように、キャットタワーなどを取り入れてみて上下運動ができるようにしてあげたり、嫌なことがあったらすぐ隠れることができる隠れ家スペースを作ってあげたり、段ボールや箱などをトンネルに見立ててあげて遊びながら探索できるようなものを作ってあげたり。それと大事だなぁと思うのが、常にトイレを掃除して清潔に保ってあげることです。もちろん大きさや数、それと好きな猫砂のタイプなども充実させてあげたりすることが大事です。
- ストレスを取り除くのに運動やトイレのことにも触れさせてもらいましたが、【フェリウェイ】というフェロモン製剤も有効であると思います。この製剤はストレス緩和に有効であるといわれており、ストレスレベルを下げることができます。しかしながら即効性はなく、少し時間がかかると思いますし、長期的に使用していくなかで少しずつ効果が発揮されると言われています。
- 『特発性膀胱炎』用のキャットフード。ヒルズのc/dマルチケアコンフォートは『特発性膀胱炎』に配慮した初めてのフードです。従来までc/dは尿路結石用のフードでしたが、L-トリプトファンと加水分解ミルクプロテインなどを含ませたことでストレス緩和を狙った療法食になっています。また『特発性膀胱炎』の再発防止率はおよそ9割!!すごくいい結果も出している療法食ですので、繰り返しているネコちゃんにももってこいのお食事だと思います。
最後のまとめ
今回ご紹介したネコちゃんに多い病気(泌尿器のこと)で取り上げた『特発性膀胱炎』ですが、あまり原因も分かっておらず、確実な治療法もありません。また再発率も比較的高く、長期的に付き合っていく可能性もあり、ご家族もフラストレーションやストレスが溜まってします病気なのです。。。治療のところでもご紹介しましたが、この『特発性膀胱炎』の要因の多くはストレスであり、そのストレスを特定することも大事ですが、思い当たる場合は生活のなかでの工夫をしてみてください。またお食事も非常に良いものもありますので、食事管理や環境管理にも取り組んでみてもいいと思いますよ。
松波動物病院メディカルセンター 獣医師 松波登記臣
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獣医師 松波登記臣
名古屋市にある松波動物病院メディカルセンター副院長の松波登記臣です。臨床獣医師として毎日診療および手術を担当しています。専門分野は、内分泌疾患(糖尿病、クッシング、甲状腺)や肝臓疾患で学位を取得しました。また近年では「痛みが少なく・傷が小さい」内視鏡手術に取り組んでおり、腹腔鏡を用いての避妊手術や各種生検、さらには胆嚢摘出、副腎摘出、肝葉切除などを行っています。
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