梅雨に増える犬の皮膚炎と外耳炎のお話
梅雨時期は犬の皮膚炎が悪化することが多いです。
犬の皮膚炎は季節によって波があり、だいたいは冬場には一度落ち着いて、春に痒みが出はじめ、梅雨では湿疹や脱毛が酷くなる傾向が強いです。
梅雨時期に皮膚炎が増える原因としては、湿度の上昇でじめじめとして皮膚の細菌も活性化しやすい環境になることや、気温の上下によってストレスで免疫力が低下すること、さらにアレルギー体質の犬では、室内のカビや、増えてくる雑草に反応していることもあります。
また梅雨時期は外耳炎も悪化することがとても多いです。
耳も皮膚の一部なので、皮膚病が悪化するタイミングで、同時に外耳炎も悪化しています。
ただ、耳の中は飼い主さんが見にくい場所なので、外耳炎は発見が遅れがちです。
梅雨に入ると皮膚炎と外耳炎が悪化するので、早めの対策をとりましょう。
梅雨に増える犬の皮膚炎
アトピー性皮膚炎も、細菌感染性の皮膚炎も増える傾向にあり、梅雨時期に痒みがでる犬はとても多いです。
最初は数か所だった皮膚の変化も、そのままにしておくと、気づけば全身に広がってしまいます。
皮膚炎の特徴は、部分的な脱毛や皮疹(ブツブツ、湿疹)、痒みが多く、発生する場所はお腹や背中など体幹部が多いです。
犬の皮膚炎の検査
愛犬の掻くそぶりが増えて、皮膚に湿疹や脱毛が増えてきたら、すぐに受診することをお勧めします。
動物病院では以下のような皮膚検査を行うことが多いです。
<犬の皮膚検査の代表的なもの>
- 抜毛検査(毛根付近を観察)
- スクラッチ検査(皮膚の下に隠れたニキビダニなどを確認)
- セロハンテープあるいはスライドグラススタンプ(細胞や菌を観察)
- 細菌培養
- 真菌培養
検査をしなくても、獣医師の経験的に皮膚の状態から治療が開始されることも多いです。
培養検査はすぐに結果が出ないので、後から結果を聞きます。
どれも痛みのない検査なので安心しましょう。
細菌性皮膚炎
梅雨に増えるのが細菌性皮膚炎です。
皮膚にいる、通常であれば悪さをしていない常在菌(ばい菌)が、梅雨のじめじめで元気になり過ぎるために、犬の皮膚で過剰に増えてしまいます。
また梅雨時期は気温の上下が激しいために、犬の体に負担がかかり免疫力が低下する傾向にあるのかもしれません。
湿疹や痒み、小さな脱毛やフケが出ることが多いです。
初期には2‐3個の皮膚炎であっても、早目に治療をしなければ全身に広がってしまうのが恐ろしい所です。
治療では消毒薬、塗り薬、シャンプー、飲み薬などででばい菌を減らして、痒みが強くて掻き壊しがある時には痒み止めの飲み薬を使用します。
<犬の細菌性皮膚炎の特徴>
- 湿疹、脱毛、フケ、痒みが主な症状
- 最初は数か所の変化
- だんだんと広がってくる
- 治療は外用薬、シャンプー、飲み薬が多い
ノミとダニの感染
5月あたりから気温がグングン上昇し、ノミやダニが一気に増えてきます。
近年では、ノミとダニの予防薬をしっかりと投与している飼い主さんが多いので、ノミやダニによる皮膚炎は減ってきていますが、それでもうっかり投与を忘れてしまうと、簡単に感染してしまいます。
だいたいの地域では気温が上昇してくるタイミングで、ノミとダニの予防薬を開始するように動物病院からアナウンスされることが多いです。
ノミは体の表面を素早く移動するので、飼い主さんがノミ事体を発見することは少ないでしょう。
痒みが増えた、掻くことが多い、という症状で来院されることが多く、もしノミ感染の予防をしていない犬であれば、ノミを発見していなくても予防的にノミとダニの予防薬を投与することが多いです。
ダニは吸血している時間が長く、驚くべきことに10日~14日も体にくっついて吸血し続けます。
そのため、だんだんと血を吸って大きくなってきたダニを飼い主さんが見つけて、「これは何だろう?イボかな?」という主訴で来院されることもあります。
ダニは顎(あご)が完全に皮膚にめり込んではまっているため、専用の器具で引き抜かなければ、ダニの顎が皮膚に残ってしまいます。
顎が皮膚に残ると皮膚炎になることがあるので、ダニがついているのを見つけても家で無理やり引き抜いたりせず、動物病院で診てもらうようにしましょう。
ノミもダニも人にも寄生する可能性があり、さらにダニではSFTS(重症熱性血小板減少症)など怖い病気を移すことがありますので、梅雨時期の前からノミやダニの予防薬を忘れずに投与しましょう。
<犬のノミとダニ感染の特徴>
- ノミ本体はほとんど見かけない
- ダニは吸血時間が長い
- 人にもうつる
- 怖い病気もうつることがある
- 予防薬の投与が大切
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ノミとマダニの予防薬はたくさんの商品があるので、どれを選んだら良いのか迷われる方も多いしょう。
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梅雨に増える犬の外耳炎
皮膚が繊細な犬や、もともと耳の中がジメジメしやすい犬種では、梅雨時期に外耳炎が悪化してしまうことが多いです。
<梅雨時期に外耳炎が悪化しやすい犬>
- 柴犬
- シーズー
- M・シュナウザー
- 垂れ耳犬
- 外耳炎になったことがある犬
外耳炎の難しいところは、耳の奥で炎症が起きているため、外側にすぐに症状が見えないことがある点です。
耳を掻くことが増えた、あるいは頭をよく振っている、という症状があれば外耳炎を疑いましょう。
垂れ耳の犬では特に耳をめくって、変なにおい、赤み、腫れ、垢や膿が出ていないかを確認しましょう。
外耳炎の検査
外耳炎になっているかどうかは、耳の中をしっかりと確認する必要があります。
犬の耳は人の耳と違って、耳道がまっすぐではなく途中で曲がっているので、家で耳の奥まで確認することは難しいでしょう。
動物病院では耳鏡(じきょう)やオトスコープという特別な器具を使用して、耳の奥や鼓膜の状態を確認します。
あまりに耳垢が多く、膿のような状態になっている時は、鼓膜が破れていることも多いです。
耳垢にどんな病原体がいるのかを確認するために耳垢検査として耳垢を顕微鏡で観察します。
慢性化した外耳炎では、耳の中で増えているばい菌に効くお薬を判定するために、細菌培養を行うこともあります。
<外耳炎の検査>
- 耳鏡やオトスコープで鼓膜を確認
- 耳垢検査
- 細菌培養
外耳炎の治療
軽度な外耳炎であれば、耳の洗浄と点耳薬の投与で治療されることが多いです。
外耳炎が重度で、鼓膜の破れもある場合は、原因が細菌であれば抗菌薬(抗生物質)を投与し、マラセチアなど酵母(カビの一種)であれば抗真菌薬を投与します。
根底にアトピー性皮膚炎などアレルギー体質があることも多いので、抗炎症薬や抗アレルギー薬、低アレルゲンの治療食をお勧めすることもあります。
定期的な耳の洗浄が必要なことが多いので、重症なケースでは通院回数が多くなる傾向にあります。
<外耳炎の治療>
- 耳洗浄
- 点耳薬
- 飲み薬
- 治療食
まとめ
ジメジメとした環境のせいか、気温の変化のためか、梅雨時期には犬の皮膚炎が増加します。
最初は小さな変化であるため、飼い主さんが様子見してしまうことも多いのですが、だんだんと広がって悪化していくことが多いです。
部分的な皮膚炎であれば、消毒や塗り薬など部分的な治療で治ることも多いのですが、広範囲に皮膚炎が広がっている時には、飲み薬が必要になります。
また梅雨時期はノミやダニの感染が増えてくる時期でもあるので、忘れずにノミダニ予防薬を投与しましょう。
外耳炎も梅雨時期に悪化する代表的な病気です。
耳の奥は見えにくいので、発見と治療が遅れがちです。
耳を掻く、頭をふるなどの症状がでてきたらすぐに受診するようにしましょう。
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