2024.07.16ノミ・ダニ , 健康 , 猫のしつけ

外で暮らしていた猫と上手に家族になる方法を獣医師の目線でアドバイス!

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外で暮らしていた猫を保護して、家族として家に招き入れるのはよくあるケースです。

猫は外の世界で生きていくより、人に守られて家の中で暮らした方が、明らかに猫の寿命は伸びますし、良い環境になることは間違いありません。

しかし今までの環境とまったく違う所で、閉じ込められてると感じてしまう猫もいますので、年単位で室内飼育に慣れるように、気長に向き合っていきましょう。

子猫の時期であれば人の家の中で暮らすことにもすぐに慣れて、大きな問題になることはないのですが、ある程度成猫になってから家に入る場合には、少し工夫と覚悟が必要かもしれません。

外で暮らしていた猫が家庭内で暮らす時に必要な注意点、慣れるためにどうしたら良いか、について回答していきます。

ジジ
ジジ
■ペットデータ
名前:ジジ
ペットの種類:雑種猫
年齢:2歳6ヶ月
性別:オス(去勢済)

 

外の世界は猫にとって

猫にとって、外の世界は厳しいもので、まず暑さや寒さが生きていくのに厳しいと言えます。

真夏の暑さ、真冬の寒さは猫の寿命を短くする大きな原因となっています。

また外の世界では交通事故に遭う可能性があるため、それで命を落としてしまう猫もいます。

他にもノミやダニ、猫同士のケンカによって怪我や病気が移されるため、さらに寿命が短くなってしまいます。

外の世界は猫にとって寿命を短くする要素しかない、辛い環境であることは間違いありません。

 

 予防薬を投与しよう

外に出ていた猫には予防薬を必ず投与しましょう。

1回だけの投与ではなく、定期的に薬剤の効果が途切れないように投与することが大切です。

外に出る猫にはノミやダニがついていることが本当に多いです。

しかもノミとりシャンプーをしているから大丈夫、あるいはノミ取り首輪があるから問題ない、市販品のノミ取薬を付けているから心配ないと思った、というお話もよく聞くのですが、それではやはりノミがついてしまうことが多いです。

ノミが増えるのを防ぐためには、動物病院で購入できる予防薬を使用しましょう。

市販品のものでは薬用量が足りないことがあり確実にノミを駆除できないことがあります。

そのため、ノミがいたら自己判断で市販のノミ駆虫薬を購入してつけるのではなく、獣医師の診察を受けて薬用量がしっかりとしたお薬を投与してください。

特にお勧めできるのはフロントラインプラスです。

フロントラインプラスはノミとマダニの予防薬の中でも昔から長く使用されているため、たくさんのデータがあり、信頼度は最も高いと言えます。

そんなマダニ対策としては動物病院で処方されているフロントラインプラスがおすすめです。

フロントラインの成分は、マダニやノミの中枢神経に作用する成分で、人や愛犬愛猫には安全性が非常に高く、安心して使用することができます。

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背中にお薬をたらすだけで、ノミとマダニが繁殖するのを防いでくれるので、動物への負担もありません。

お薬を飲むことが苦手な愛猫には特にお勧めです。

また、ノミだけ予防してもノミによって移される瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)などの消化管内寄生虫(お腹の寄生虫)は防ぐことができません。

そのため、ノミだけでなく、ダニや消化管内寄生虫も同時に駆虫(虫を落とすこと)できるオールインワンと言われる予防薬を使用することがお勧めされます。

オールインワンの予防薬は、ノミやダニだけでなく、お腹の寄生虫やフィラリアも予防できます。

ノミ、ダニ、お腹の寄生虫は人にも感染してしまうことがあるので、猫が外に出るという場合には確実に駆虫できるように、動物病院でオールインワンの予防薬を処方してもらいましょう。

 

外に出たい猫の気持ちを知ろう

外に出ることで猫にデメリットが多いと人は解っているのですが、外で育ってきた猫を家庭に招き入れても、成猫であればあるほど、外に出して!出して!と常に脱走の機会をうかがっているような状況になりがちです。

子猫のうちに家庭に入っていれば、外の世界にあまり興味がない、あるいは外の世界が怖いという猫も多いのですが、外を知っている猫にとっては家に閉じ込められたことで環境がガラッと変わってしまうために、慣れた環境が恋しくて仕方がないのです。

猫は外の世界で何をして暮らしているのでしょうか?

実は単独行動が多いように見える猫ですが、他の猫とのコミュニケーションをとることも多く、猫同士のつながりもあるようです。

また虫やトカゲなどの小型動物を狩りするのも楽しみの一つで、毎日小さな狩りをして、狩猟本能を満たしています。

猫同士のつながりや、楽しい狩りの経験をすることができない家の中という環境が、どうしても外で暮らしていた猫にはつまらないものに感じてしまうのかもしれません。

 

家の中で猫と暮らすには

外で暮らしていた猫が、家の中でも満足してもらうには、上記のような猫の楽しみをなるべく叶えてあげられると良いでしょう。

つまり、猫にとって居心地の良い部屋の工夫や、猫友達の代わりに人が遊んであげる、猫の狩猟本能を満たすために工夫をする、ということです。

 

部屋の工夫

猫は高い所から周囲を見渡すことが大好きです。

そのため、室内でも高い位置にくつろげる場所を作ってあげることが大切です。

キャットタワーや、高い位置にキャットウォークを設置してもらうのもおすすめです。

また、外を眺めるのも大好きなので、二階の窓辺や、一階でも高い位置から窓の外を見られるようにすると、そこでくつろいでくれる子が多いです。

また、トイレは外の世界の排泄場所と比較すると、狭くて砂も好みではないということが多く、最初のうちは室内で排泄してくれないという悩みも多くあります。

そのため、猫用のトイレはなるべく広いものを。

そしてカバーなどついていないトイレが猫の好みに合うことが多く、さらに砂は細かいものをたっぷりと入れます。

公園の砂場が猫の格好のトイレになって問題になってしまうのは、あれが猫の理想のトイレに近いものだからです。

あれを思い浮かべて、猫の理想のトイレに近いものを用意してあげましょう。

基本的に猫の頭数+1個のトイレが必要と言われていますので、1頭であれば2個のトイレを置くようにします。

 猫の狩猟本能を満たす

猫は1日の中で何回も小さな狩りをして餌をとり生活しています。

その「狩りをしたい!」という本能は、家に入った猫にも残っていますので、その欲求を解消してあげることがとても大切です。

毎日猫と遊ぶ時間をとってあげましょう。

1日に3回~4回、1回につき15分程度でもかまいません。

おもちゃを生き物のように動かして、狩りごっこをしてもらったり、おもちゃを投げて持ってこい!を繰り返してみたり、どの遊びが猫の好みに当てはまるかを、いろいろと試行錯誤してみましょう。

猫用の知育玩具というものもあります。

少し工夫したり、頑張ったりすることで、フードが数粒食べられる、というようなものがお勧めです。

何かしたら、フードが食べられる!となると、暇な時に猫が1人遊びをしてくれる効果が期待できます。

ただし、猫のおもちゃは見ていないところで猫が噛み壊して、おもちゃを飲んでしまうという事故も起きることがあるので、製品の丈夫さも確かめて使用していただくのが安心です。

 

妊婦さんは外の猫を飼うはリスクあり

 トキソプラズマという寄生虫の名前を聞いたことはあるでしょうか?

あまり聞きなれない単語かと思いますが、これは猫から人に感染する寄生虫の一種です。

成人がトキソプラズマに感染しても、大きな問題にならないことが多いのですが、妊婦さんが初めてトキソプラズマに感染してしまうと、胎児に大きな問題が起きてしまうことがあります。

これは知らなかったでは済まない事態になりますので、広く知ってもらいたいことなのですが、妊娠中に初めて外猫を飼うことによってトキソプラズマに感染する可能性が高くなります。

妊娠前に既にトキソプラズマに感染していれば、問題にならないのですが、人が妊娠期に初めてトキソプラズマに感染することがないようにしなくてはなりません。

もし家族の女性が妊娠していることが解っている状況であれば、外の猫を家に入れる前には、絶対に動物病院で妊娠中の女性がいることを告げて、必要な検査が終了するまでは動物病院で預かってもらうことも視野に入れましょう。

 

まとめ

外の世界は猫にとって危険なことが多く、家の中で暮らしたほうが猫は寿命が長くなります。

しかし、今まで外の世界で暮らしてきた猫にとっては、トイレも狭く気に入らないことや、楽しいことがない室内では、欲求不満になって外に飛び出してしまうこともあります。

外に出たいという猫の気持ちをゼロにするには数年単位で室内飼育に慣れてもらう必要がありますが、なるべく早く慣れてもらうために猫が過ごしたいと思えるような環境を整えるようにしましょう。

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わたしたちは創立1974年以来、愛知県名古屋市内で動物病院ペットの健康管理をトータルサポートし続けています。当院は犬・猫をはじめとする小動物の診療を主体として、トリミング、しつけ教室、ペットホテル、通信販売など、さまざまなペットケアサービスをワンストップで展開しています。