2024.12.09しつけ

飼い犬に手を噛まれる!柴犬に多いって本当?

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噛み癖
「飼い犬に手を噛まれる」ということわざではなく、実際に飼っている犬にガブっと手を噛まれて困っている飼い主さまは多いです。

これは子犬に手をたくさん噛まれて痛いんです、という悩みとは別物です。

成犬が、唸りながら、攻撃性をもって飼い主さんの体を噛むという行動は、家庭犬としては無いほうが良い行動ですし、本人(本犬)も飼い主さんも辛い思いをしている状況になります。

この成犬になるほど、唸って本気で噛む、飼い主さんを流血させる、という問題行動は、柴犬の飼い主さんから相談を受けることがとても多いです。

それは柴犬という犬種の特徴でもあり、遺伝的な問題でもあるでしょう。

ただし、柴犬だけでなくトイプードルやMダックス、チワワ、フレンチブルドッグなど他の犬種も攻撃性をもって噛むというお悩みをもつ飼い主さんは少なくありません。

つまり犬種だけの問題ではないということです。

この記事では、犬に手を噛まれてしまった時の対処法、噛む行動をとりやすい犬種、なぜ攻撃的に噛むのか、噛まれないための対処法、必要な治療について解説します。

 

犬に手を噛まれたら、まずすること

「一週間前にこの子(愛犬)に噛まれて、血が出て大変でした。」

と狂犬病のワクチンを打ちに来た柴犬の飼い主さんから聞いたとき、え!傷はどうしたんですか?と聞くと

「今回もマキロンでしっかりと消毒して大丈夫です!」

と良い笑顔でおっしゃられて、驚いたということがあります。

愛犬に噛まれて血が出ても、病院を受診しないという飼い主さんは結構多くいます。

マキロンで消毒するのも悪くはないですが、まずはしっかりと流水でゴシゴシと洗い、必ずすぐに人のお医者さんを受診しなくてはいけません。

「大丈夫ですよ。いつも噛まれてもそこまで腫れません」

とも言われますが、いつも大丈夫でも今回は大丈夫ではないかもしれません。

犬の口の中には、ばい菌(細菌)がたくさんいます。

その菌には、破傷風菌(はしょうふうきん)という怖いものもあって、噛まれて体内で破傷風菌が増えてしまうと、痙攣(けいれん)が出て死ぬ人もいるのです。

そのため、必ず早く人の病院を受診するようにしましょう。

 

柴犬という犬種

成犬になって血が出るほど強く噛むという代表犬種としては柴犬がいます。

柴犬は、比較的野生の感性を残した犬種であり、人が大好き!みんな大好き!というペットの性格をしていないことが多いです。

それに加えて、怖がり、新しいことが苦手、繊細、音に敏感、イライラしがち、アレルギー体質というような個体による性質が追加されると、噛む柴犬になるリスクが劇的に高くなってしまいます。

本能的にどんな犬も、食べ物を守りたい、足先やお尻には触らないでほしいという欲求があります。

本能がやや強く、繊細な性格の柴犬は、それらの欲求をおさえられず、噛むという行動で要望を通そうとします。

小型犬であれば、うなったり噛んだりしても、人にとって脅威となりにくいために、あまり問題にならないことが多いのですが、柴犬は中型犬サイズで顎の力も強く、筋力強いです。

 

そのために人は柴犬のうなりや噛みに対して、引いてしまわざる負えません。

すると柴犬は、「うなればいいんだ!」「噛めばいいんだ!」と、その行動を多用するようになってしまうのです。

もちろん、「あまり知らない人でも好き!」と言ってくれる動物病院スタッフの癒しのような柴犬さんもいますが、それでも挨拶が終わったら比較的ドライに、サヨナラしていきます。

近年では攻撃性の強い性質をもつ柴犬のブリーディングをせず、穏やかな気質の柴犬が増えてきている印象です。

 

柴犬以外の噛む犬種

柴犬以外にも噛むことで悩まれているのは、トイプードルやMダックス、チワワ、フレンチブルドッグなどです。

ただトイプードルやMダックス、チワワは、飼育頭数が多いためかもしれません。

どちらにしろ、繊細な性格や不安感の強い犬、皮膚炎やアレルギーのある犬、音、人、犬が苦手な性格の犬は、噛むという攻撃性が出ることが多いです。

ただしフレンチブルドッグは、とてもフレンドリーな性格で、あまり不安感なども強く無く可愛がられる犬種です。

しかしブルドッグやテリアという犬種は本能的な噛みという攻撃行動が突如として出てくるので、飼う場合には注意しましょう。

経験した一番怖いフレンチブルドッグの攻撃性では、同居の小型犬と折り合いが悪く、飼い主さんが見ていないときに小型犬を噛んで、命を奪ってしまったケースです。

普段はあんなに大人しくて可愛いのに、小学生の子供を見ると火が付いたように噛みに行くフレンチブルドッグもいました。

多頭飼育する場合には、体格差の少ない同じくらいの大きさにし、おとなしくてもフレンチブルドッグであれば興奮するスイッチがどこかにあるかもしれないと知っておきましょう。

 

なぜ飼い犬に手を噛まれるのか

飼い犬に手を噛まれる理由は、噛むことによって犬に良いことがあるためです。

<犬が噛むとメリットがあると勘違いされる場面>

・噛んだら爪切りが終わった

・噛んだらおもちゃを取られなかった

・噛んだら好きな場所にずっといられた

・噛んだらケージに入らずに済んだ

・噛んだら抱っこから解放された

・噛んだら撫でるのが終わった

・噛んだらドライヤーが終わった

また、その犬の特性で、怖がりや不安定さ、イライラ、繊細、音に敏感というものがあると、おっとりとして動じない犬にくらべると、その犬は常に気を張ってイライラしている状態になります。

少しの刺激でパニックになる犬も、上記の性質があると考えられます。

 

<噛みやすくなる性質>

・音に敏感

・怖がり

・知らない場所や人が苦手

・不安そうにしている

・警戒して吠え続ける

・触られることに敏感

・パニックになる

犬も最初から強く噛むわけではなく、日頃からイライラや葛藤が犬の中にあり、うなって警戒するところから始まります。

そこからさらに、我慢ができずに噛むという行動になり、そこから噛んだことによる成功体験が積み重なることによって、噛むことがエスカレートして、飼い主さんが流血するほどに強く噛んでしまう犬になってしまうのです。

 

飼い犬に手を噛まれないために

血が出るほどに飼い主さんを噛む犬であれば、これは治療的介入が必須です。

なぜなら、人だけでなく、犬も辛いはずなのです。

そこまで噛む犬は、心から安心して可愛がられる犬になりません。

愛玩犬にはならず、家族の恐怖の対象になってしまう犬は不幸です。

噛む犬を治療で治す、というとピンとこない方も多いでしょう。

噛むという問題行動を治療するには、本来は行動療法を活用し、性格や状況に合わせて治療薬を処方してくれる専門医にかかるのが最良です。

 

しかし問題行動の専門医は多くないので、受診できるところを探しつつ、まずできることから始めましょう。

 

<噛む犬への対策>

・噛まれるようなことしない

・噛まれないように物理的な方法をとる

・持病がないかチェック

・犬が落ち着ける環境を作る

・犬との適切な距離を考える

 

まず噛まれないようにすることが大切です。

飼い犬に手を噛まれる飼い主さんは、だいたいがどのタイミングで唸られて噛まれるかを把握しています。

噛まれることが解っているのであれば、それをしないことが大切です。

 

<一時的な対策例>

・ハーネスを付けるときに噛む

→ハーネスは付けたままにしておく

 

・ごはん皿を片付けるときに噛む

→皿ではなく広めのシートに撒く

→噛まれないなら手からフードを与える

 

・撫でると噛む

→撫でない

 

・おもちゃを回収できない

→おもちゃを与えない

→フードで気をそらす

→散歩へ行くことで気をそらす

 

上記の対策を見て、「それってその場しのぎじゃないか?」とおもわれるかもしれません。

かつ、おもちゃを離さないときにごはんをあげたご褒美と勘違いしない?などの意見もあるでしょう。

しかし、まずは噛まれないことが大切で最優先で一番重要なところなのです。

まずは噛まれる頻度を減らし、噛むことでの成功体験を重ねないことに尽力しましょう。

 

噛む犬に必要な治療

本来は、その犬の気質や特性にある怖がりや不安感、イライラをおさえてあげることが大切です。

そのためには、何で噛むのか、どんな時に噛むのか、どうしたら噛まれないのか、治療薬でイライラをおさえるべきかを担当医と相談し、少しづつトレーニングしなければいけません。

柴犬は力が強いので、素人判断はせずに、必ず獣医の意見を聞きましょう。

できれば問題行動の専門医を受診できると良いですし、近年ではオンライン診察も受けられるようですので探してみましょう。

 

名古屋市瑞穂区近郊の方は、松波動物病院メディカルセンターのしつけ教室をぜひご検討ください。

登記臣院長
登記臣院長
『なかなか言うことを聞いてくれない』
『すぐに吠えちゃって…』
というお悩みをもつ方や、しつけには興味があるけどどうすればいいのか分からない方へ、当院のドッグトレーナーが、それぞれのワンちゃんに合わせて、しつけのお手伝いをさせていただきます。

まとめ

噛むのは犬の本能であり、野生の本能が比較的残っている柴犬は噛む犬になりやすいと言えます。

ただそれは柴犬だけでなく、他の犬でも言えることです。

噛まれると人に恐怖感が出て、犬を心の底から可愛がることが難しくなります。

それは犬にとっては不幸なことです。

犬のためにも、血が出るほどに噛まれた時には治療的な介入が必要だと知っておきましょう。

 

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松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ

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わたしたちは創立1974年以来、愛知県名古屋市内で動物病院ペットの健康管理をトータルサポートし続けています。当院は犬・猫をはじめとする小動物の診療を主体として、トリミング、しつけ教室、ペットホテル、通信販売など、さまざまなペットケアサービスをワンストップで展開しています。