家に来たばかりの子犬が下痢をしています。原因はなに?
環境の変化によって下痢になってしまう子犬はとても多く、その原因は様々です。
トイプードルやチワワ、マルチーズなど、小型犬種の子犬は生後3カ月前にペットショップで購入すると体重が1㎏以下であることも多く、そんな小さな体の子犬たちにとって下痢は、脱水と低血糖になる危険がとても高いと言えます。
下痢だけでなく脱水や低血糖であれば、実はすぐに対処しなければならない状態です。
また子犬の時期は感染症(うつる病気)によるものが多く、人にも感染する寄生虫や菌であることもあります。
この記事では家に来たばかりの子犬が下痢をしていた場合の注意点、対処法、原因について解説します。
子犬の下痢とは
子犬が家に来て数日のうちに、うんちがゆるい、軟便、下痢になるということは本当に多くあります。
家に来た時から軟便や下痢になっていると、それが普通だと思ってしまって重症になるまで受診が遅れることもあるので危険です。
子犬の軟便や下痢の目安として、便が柔らかくて掴めない、便を取った後に床(トイレシート)にぺちょっと付いている、排便後に絞り出す様にポタポタと液体が出る(しぶりがある)、排便回数が8-10回以上ある、などを挙げます。
正常な子犬の便はコロコロとしていて、床につくとしてもほんの少しですので、軟便の目安を知っておきましょう。
<子犬の軟便と下痢の目安>
・便がつかめない
・床に着く量が多い
・しぶりがある
・排便回数が10回前後ある
子犬の下痢の危険性
人気犬種であるトイプードルやチワワ、マルチーズなどの小型犬種は、家に来た時の体重が1㎏未満のケースが多く、体がとても小さいです。
体が小さいということは、体力や抵抗力も小さいと言えます。
そのため、下痢が出ると脱水や低血糖のリスクが高くなります。
脱水も低血糖も子犬にとっては命取りです。
重度になればぐったりとして、あからさまに元気がなくなります。
特に低血糖になると、重症であれば痙攣(けいれん)などが起きて死んでしまうこともあります。
子犬が下痢をしていたら?
子犬が下痢をしていたらどうしたら良いのでしょうか?
脱水や低血糖にならないように、まずは何をするべきかを以下に解説します。
ごはん
下痢の時にはご飯はどうしたら良いですか?というご質問をよくいただきます。
下痢でも食欲があるのであれば、少量頻回で胃腸に負担をかけずにふやかしたご飯を与えるのが基本になります。
生後2か月や3か月であれば、もともと1日3回から4回の食事回数で、ふやかしたご飯を食べていることが多いので、それを継続することが大切です。
逆に新しい缶詰やフードを追加してしまうと、それによってまた軟便や下痢になることがあるので、自己判断でフードを変更するのは止めましょう。
問題は、食欲が無い、あるいは吐き気がある時です。
吐き気があるのであれば無理にご飯を食べさせるのは止めましょう。
食欲がない状態が続き、ぐったりしていて元気がないということであれば、低血糖になっている可能性があります。
その時は口の中にガムシロップを塗り込んでからすぐに動物病院に行きましょう。
安静にする
下痢をしている時は体力を温存するために、ケージのなかで安静にした方が良いです。
元気がある場合でも、下痢があるのであれば遊んだりせずに安静にしておいた方が良いです。
子犬は体力が多くないので、遊びすぎると更に体調が悪くなってしまうので要注意です。
お水の飲み具合とおしっこを見る
下痢によって、体からいつもより水分が多く出てしまうので脱水になります。
脱水は体への負担がとても大きいので、子犬が脱水状態にあるかどうかを把握することは大切です。
脱水状態にあるかどうかを把握するためには、子犬の水の飲み具合と、おしっこの量や濃さがポイントです。
お水の飲み具合がいつもより多い、そしておしっこの量がいつもよりも少ない、いつもより黄色が濃いおしっこになっている、ということであれば体は脱水状態になっていると判断します。
病院へ行くべき?
子犬が下痢になっていたら、すぐに動物病院に行くべきです。
よくある質問としては、「下痢だけど、元気も食欲もあるから病院に行かなくてもよい?」というものです。
成犬で、体も大きく下痢はあるけれど食欲も100%で吐き気などもない、元気いっぱい!というケースでは、まず食事療法から自宅で試すこともあります。
しかし子犬の下痢では、自宅で様子を見ることはお勧めできず、まずは受診することをお勧めします。
なぜなら、子犬の下痢は脱水や低血糖などで命にかかわるリスクがあり、感染症(うつる病気)が原因のことが多いため、しっかりと治療した方が早く治るためです。
子犬の下痢の原因
子犬の時期は寄生虫やウイルス、細菌による下痢の可能性が高いです。
子犬は免疫力も弱く、体力も少なく、かつブリーダーやショップから移動してきた環境の変化のストレスもあって下痢になりやすい状況です。
ウイルス性の下痢であれば、人にうつる可能性は少ないのですが、細菌性や寄生虫による下痢は人にもうつるので注意が必要です。
人にもうつる子犬の下痢
基本的には、免疫力がしっかりとある成人に子犬の下痢の原因である寄生虫や細菌が感染して悪さをするという可能性はとても低いです。
ただ、それでも絶対にうつらないわけでないので、基礎知識として知っておきましょう。
寄生虫は基本的に人にもうつります。
子犬の下痢の原因になる寄生虫で多いのは、原虫(げんちゅう)と言われるジアルジアやトリコモナス、近年では少ないものの、地域によっては多いのが線虫である回虫(かいちゅう)。その他にも条虫(じょうちゅう)などの寄生も希にありますが、下痢にはなりにくいです。
また細菌は人にもうつるので注意が必要です。
便を遺伝子検査(PCR)すると出てくるのが、クロストリジウムやカンピロバクターなどです。
上記の感染症による下痢は、動物病院でしっかりと治療する必要があります。
<子犬の下痢は人にもうつる>
・細菌性の下痢は人にうつることがある
・寄生虫も人にうつることがある
・ウイルス性の下痢は人にうつらない
死ぬ可能性のある子犬の下痢
パルボウイルスによる子犬の下痢は、死ぬ可能性のある怖い病気です。
ウイルス性の下痢は基本的に根本治療がないため、本人(子犬)の体力をつけるという方法しかとれず、パルボウイルスはイチゴジャムのような下痢が止まらず、治療しても治らずに亡くなるケースがあります。
ワクチン接種をして、しっかりと抗体がついていれば重症にはならないので、ワクチン接種を指示通りに受けるようにしましょう。
子犬の下痢便の扱い方
子犬が下痢をしてしまったら、人にうつる下痢の可能性も考えて、使い捨ての手袋をつけて、便が手につかないように気をつけましょう。
人にうつる感染性のものが無いかを動物病院で検査してもらうまでは、十分に注意が必要です。
そして手洗いはこまめに行いましょう。
「便を動物病院で検査してもらうためにはどうしたら良いですか?」という質問もとても多いのです。
基本的には、一回分の便を二重にしたビニール袋に密封してもらって動物病院に持参すれば大丈夫です。
便を持参する前に、念のためにかかりつけの病院に電話で確認するのがおすすめです。
便の量、新鮮さ、専用の検便容器などを指示されることがあります。
まとめ
家に来たばかりの子犬が下痢をすることはとても多く、近年で人気の小型犬種では体が小さいために重症になりやすい傾向があります。
脱水や低血糖は命にかかわることもあるので、下痢がでたらまず動物病院へいきましょう。
すでにぐったりしている時は、低血糖の可能性があるので口にガムシロップを塗り込んでから受診しましょう。
また子犬の下痢の原因には、人にうつるものもあるので、便の始末をするときには使い捨てのビニール手袋を使用して行い、手洗いをこまめに行った方が良いです。
まずは子犬の下痢の原因が人にうつるものではないかの確認をとるためにも、便の検査をしてもらうのがお勧めです。


松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ

最新記事 by 松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ (全て見る)
- 猫は痛いとどうなるの?痛みの原因とサインを知ろう - 2025年3月7日
- 猫にも食物アレルギーがある?症状と注意点について - 2025年2月17日
- 家に来たばかりの子犬が下痢をしています。原因はなに? - 2025年2月13日