犬猫の高齢期はいつから?シニア期に気を付けることとは?
犬と猫のシニア期、つまり高齢期は7歳や8歳と言われています。
寿命が18歳や20歳という年齢の動物も多くなっているなか、シニア期の始まりは10歳前であり思いのほか早いことがわかります。
シニア期は、元気そうに見えていてもじわじわと老化の影響が出始める時期です。
そして犬猫は変化や不調を報告することが出来ないので、病気の発見はどうしても遅れがちです。
そのため大切な家族である愛犬と愛猫の老化について正しい知識をもっておくことはとても大切です。
この記事ではシニア期に見られる犬猫の体の変化や不調、飼い主さん自身で行える健康チェックの具体的な方法について解説します。
犬猫のシニア期とは
シニア期と言っても初期と後期では大きく状態が変わります。
シニア期の初期では元気で見た目も若々しく、何も大きな変化はないように見えます。
変化があったとしてもごくわずかで、不調である様子はないのが7歳や8歳の時期ですが代謝の低下、あるいは早い子では病気が始まっていることもあります。
シニア期でも10歳を超えて、12歳、13歳ともなれば、犬猫も白髪がでてきたり、活発さが減るなどの変化が出てきます。
このころには、寒さに弱い、免疫力が低下する、食欲が安定しない、お水を飲む量が増える、今まで病気になったのに病院に行く機会が出てくるのがシニア期の後半です。
シニア期の後半では消化器や腎臓、肝臓、心臓にも機能の低下が出てきます。
犬猫のシニア期でのチェック項目
シニア期を迎えた犬猫が家にいるのであれば、日ごろからどのような点に注視していけが良いでしょうか?
はっきりとした不調が出る前に、変化が現れる項目は以下の通りです。
<定期的にチェックする項目>
・体重
・口の匂い
・歯茎の色
・お水を飲む量
・おしっこの回数
・階段の上り下り
・毛並み
■体重
体重は、測ろうと思わなければなかなか把握できません。
できれば毎月1回は、飼い主様がペットを抱き上げて体重計にのって、人の体重を引いて動物の体重を測るのがお勧めです。
あるいはシニア期であれば月に一度は動物病院で身体検査だけでも、爪切りや肛門腺などのメンテナンスとともに正確に体重計測を実施していただくのが良いです。
■口の匂い
口の臭いは体調のバロメーターであるのは人も動物も同じです。
口が臭い!と思ったら、それは何か不調が出ている可能性が高いです。
■歯茎の色
また歯茎の色は、歯の健康、そして貧血や血圧のバロメーターになります。
若い時から歯茎の色をみて、健康な時の色を覚えておきましょう。
歯茎は赤くなりすぎても、白くなりすぎても良くありません。
■お水を飲む量・おしっこの回数
お水を飲む量とおしっこの量は、体の中の変化を早くキャッチすることができる大切なポイントです。
ただ、おしっこの量は計量するのが難しいのですが、おしっこの回数が増えているようであれば要注意です。そして週に1度程度は一日に飲む水の量を計測しましょう。
だいたいで大丈夫なので、何ミリリットルの水を入れて、交換するときに何ミリリットルが残っているのか、それで飲水量が計測できます。
■階段の上り下り
階段の上り降りをためらう、ゆっくりとしたスピードになる、段差を上がらない、などの変化を見逃さないようにしましょう。
関節炎が始まっているサインとなります。
■毛並み
毛並みは動物の栄養状態とホルモンバランスを反映しています。
特に猫は体調が悪い時には毛繕いがおろそかになるので、猫に毛束が増えてきたな、べたつきが出てきたな、という時には体調不良があるかもしれません。
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犬猫のシニア期に受けるべき健康診断
シニア期に入ったら、見た目ではわからない老化の変化を掴むために、年2回健康診断をしましょう。
まずは、身体検査、尿検査そして血液検査が基本としてお勧めです。
しかし人と違う点は、検査へのストレスによって逆に体調不良になることがあるので、それぞれの性格や人慣れなども考慮して検査項目を決める必要があるところです。
何でもかんでもたくさん検査をすれば良いということではないと知っておきましょう。
シニア期の身体検査
まず最初に受けるべきなのが身体検査です。
体重や体温、心音、肺音、リンパ節の腫れがないか、歯周病がないか、脱水がないかをみてもらいましょう。
実は身体検査でわかる老化の変化はとても多く、そして犬猫への体への負担もなく、検査としてはとても重要です。
ここで異常を発見して、次の検査に進みます。
シニア期の尿検査
次にお勧めなのが尿検査です。
尿検査では、一番早く腎機能の低下を見つけることができます。
あるいは、多飲多尿になっている可能性を早期に発見できるのも良い点です。
家で出たおしっこをとって提出するだけなので、動物にも負担がありません。
そのためにも、家で採尿する練習は若いころからやっておくのがお勧めです。
シニア期の血液検査
多くの情報が得られるのが血液検査です。
血液検査は、貧血がないか、感染の兆候がないか、炎症がないか、肝臓や腎臓に負担が出ていないか、タンパクの量に変化はないか、などがわかります。
採血自体は、ほんの短時間で終わり、針を刺す痛みもごくごく僅かです。
その少しの動物の負担で、多くの情報が得られるので、血液検査はお勧めできます。
症状が出ていなくても、何かしら血液検査の値が悪いということはシニア期では多いため、年に1回の定期健診を受けましょう。
その他の検査
レントゲン検査やエコー検査、血圧測定などが健康診断項目では追加されることが多いです。
病院に慣れていて、ストレスを感じにくい犬猫であれば定期的にレントゲン検査やエコー検査、血圧測定も実施するのは良いことでしょう。
逆に、ストレスを感じやすく、病院にいる時間が長ければ長いほど体調不良になるタイプであれば、身体検査や血液検査で問題があったときに追加で実施するのがお勧めです。
犬猫のシニア期の工夫
シニア期の初期では上記のような変化や、消費カロリーが減っていく、筋肉量が減っていくなどの特徴があります。
そのため、シニア期に入った犬猫であれば日常生活でも工夫していく必要があります。
<シニア期での工夫>
・食事の変更を獣医師に相談
・お水を飲む場所は複数置く
・階段は抱っこ、段差はスロープを付ける
・床には滑り止め
・暑さ寒さのためにエアコンは常に使用
まず体重が増えすぎないように、シニア期用のフードに切り替えるのがお勧めです。
脱水傾向が出てくるのがシニア期なので、お水を飲める場所をいくつか設置し、常に新鮮なものにしましょう。
段差によって怪我や関節炎の悪化が出てくるので、段差にはスロープを付けたり、階段は抱き上げて登る必要も出てきます。
また滑ると関節への負担が増えるので、床や階段には滑り止めを使用すると良いです。
暑さ寒さへの耐性が下がってくるのもシニア期なので、人が衣服を一枚増やす時には暖房器具をつける、暑さを感じるならクーラーをつけるなど、温度差があまりない環境を作るようにしましょう。
まとめ
愛犬と愛猫はいつまでも変わらず元気だな、と思っている7歳や8歳でも、実は高齢期の始まり、シニア期への入口であることを知っておきましょう。
この時期から病気が始まっていることが多いためです。
そのため小さな変化も見逃さないように、定期的に体重を計測したり、お口の匂いをチェックしましょう。
また症状がなくても健康診断を受けるようにしましょう。
最初からたくさんの項目を検査する必要は無いので、その子の性格や人慣れに合わせて検査項目を決めるのがお勧めです。
おまけ
1月30日にミッドランドスクエアで開催されたいぬとねこシニアのそなえプロジェクトに松波動物メディカル通販部のスタッフ2名で参加してきました。
参加者は事前抽選で申込みをした、7歳以上の犬・猫を飼っているペットオーナー20名です。
イベントアンバサダーの寺田心さんと一緒に獣医師からシニア期の過ごし方を一緒に学ぶというトークイベントです。
お家で簡単にできる健康チェック方法やシニアペットの介護の心構えを教えていただいたのでご紹介いたします。
■脱水症状のチェック
・首の後ろを掴む
正常:1秒以内に元に戻る。
脱水症状あり:1秒以上かけてゆっくりと元に戻る
■貧血のチェック
・肉球の色 ※肉球の色がピンクの子はこの方法でチェック可能。
正常:ピンク
貧血の場合:白っぽい
・歯茎の色
正常:ピンク
貧血の場合:白っぽい
健康と異常の色が判断できるように、日頃からデンタルケアのついでに歯茎の色も確認することをおすすめします。
■関節炎のチェック
・後ろ足を触り痛がる様子はないか確認する
日頃からブラッシングのついでに、触って確認することをおすすめします。
■シニアペットの介護の心構え
・一人で抱え込まないこと
・周りに頼ることも必要
どんなにかわいいペットでも、日々の介護に疲れて自分を責めてしまう気持ちになることが必ずあります。
そんなときは、かかりつけの獣医師や動物病院、友人、家族に相談するなど一人で抱え込まずに周りに頼ることも必要というお話が印象的でした。
話すことで気持ちが整理できるのでおすすめです。飼い主さんの心身の健康もペットの介護にとっては重要ですね。
■健康診断
・7歳を過ぎたら年2回の健康診断を受診する。
犬と猫は人間の4倍のスピードで歳を重ねるため、年2回の健康診断で早期発見・早期治療につなげましょう。
参加者全員に絵本のお土産もいただきました。
YouTubeに絵本の内容の動画もございますのでご紹介いたします。
お時間のあるときに、ペットと一緒に視聴してみてください。
共感できるお話です。
【朗読:下野紘】ペットライン・シニアのそなえものがたり「ママはココファースト!」
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