くしゃみの原因はクーラー?梅雨時期の猫の病気と快適な環境
クーラーを付け始めたら猫のクシャミや咳が増える、あるいは目が赤くなって涙目になるということがあります。
寒さが原因のこともありますし、アレルギー体質で梅雨に増えたカビに反応している猫もいるようです。
梅雨時期には暑い日やジメジメした日もあれば、急激に気温が低下して寒さを感じる日もあり、さらには朝晩は冷えるけれども昼は暑いというように、一日のなかでも気温差が出やすい時期です。
体が人よりも小さい猫にとって気温差はとても負担になります。
そのため、猫風邪がぶり返したり、アレルギー反応が出たりと体調を崩す猫が多いです。今回は梅雨時期に気を付けるべき猫の病気とクーラーの使用について解説します。
梅雨時期に増える猫のクシャミ
梅雨に入るかどうかという時期に、猫がクシャミの症状で受診することが多くあります。
子猫の時期に猫風邪を持っていたという猫では、気温の上下が激しい梅雨時期には、また猫風邪を発症してしまうことが多いためです。
■猫のくしゃみの原因
猫風邪の原因がヘルペスウイルスによるものであれば、一度良くなっていたとしても神経細胞にウイルスが生涯にわたって隠れているので、完治ということが難しく、くしゃみなどの症状が時々出るということを繰り返します。
またアレルギー体質の猫では、梅雨時期のカビが増えるタイミングでクシャミが増えるということもあります。特にクーラーとして使用したエアコンにはカビが増えやすい傾向にあるので、エアコンを使用するとカビに反応してくしゃみが出る猫もいます。
■猫のくしゃみの治療
くしゃみの原因が猫風邪であるならば、その原因が細菌かウイルスなのかによって治療が異なります。
細菌であれば抗菌薬を使用し、ヘルペスウイルスであるならば抗ウイルス薬を使用することができます。
投与の方法は、点鼻薬(鼻に入れる)か、飲み薬が多いです。薬剤を霧状(きりじょう)にして噴霧(ふんむ)するネブライザーを実施することもあります。
猫風邪の治療をしても良くならない、あるいは検査で病原体が検出されない場合は、アレルギー性のくしゃみの可能性が高くなります。
くしゃみのきっかけがクーラーの使用だった場合には、クーラーを清掃してもらうということも大切ですが、アレルギーは少しの刺激で反応してしまうものなので、クーラーを清掃しても完全にくしゃみが無くなるということは難しいでしょう。
多くは抗炎症薬を投与して、くしゃみを減らすことができるか確認します。投与方法は、やはり点鼻薬かネブライザーから開始され、それでも良くならない時には飲み薬が選択されます。
梅雨時期に増える猫の涙目
涙が増えるという症状は、梅雨でなくても時折発生するものですが、梅雨時期では増える傾向にあります。
猫が涙目で、赤みが強いという症状があった場合には以下のような原因が挙げられます。
<猫の涙目の原因>
・目に傷ができた
・目にゴミが入った
・猫風邪
・アレルギー反応
・鼻涙管の閉塞
梅雨時期に増えるのは上記のうち猫風邪とアレルギー反応です。
くしゃみと同じように猫風邪とアレルギー反応が原因で、症状が目に出るタイプもあるということです。
涙を鼻へ流している鼻涙管という管が詰まっている時にも、涙目という症状が出ます。
鼻涙管の閉塞は、生まれつきであったり、あるいは猫風邪やアレルギー性の炎症によっておきることもあります。
目に傷が出来た時にも涙が増え、白目や目のふちが赤くなり、さらには目が開きづらい様子があります。目の傷は痛いので、目を閉じたいという、開けられないという症状が強いです。
目にゴミが入ったというケースもあり、その場合には涙を多くだしてその異物を目から洗い流そうとしています。ゴミさえ流れ出てしまえば、数時間もしないうちに涙もおさまり、赤みも引いてきます。
■猫の涙目の治療
涙の原因が目の傷であった場合には、角膜保護剤の点眼薬で治療することが多いです。
目に傷もなく、ゴミも入っていないような状況で、かつ今までに猫風邪にかかったことがある猫であれば、その猫風邪の原因によって抗菌薬や抗ウイルス薬などの点眼薬を使用します。
目に傷もない、猫風邪の原因も検査で出なかった、という時にはアレルギー性の涙であると判断され、抗炎症薬の点眼薬を開始します。
鼻涙管の閉塞があり、お薬での治療でも涙の流れが良くならない時には、全身麻酔下で鼻涙管洗浄や開通させることがあります。
しかしもともと狭い鼻涙管の場合は、洗浄や開通させてもすぐに詰まってしまうことが多いので、その場合の涙目はすっきりと完治しないでしょう。
猫のための適切なクーラーの使用
クーラーを使用したあとから、くしゃみや涙目が増えたという場合であれば、まずはエアコンを専門業者に清掃してもらいましょう。
あるいは古いエアコンであれば、買い替えを検討してもらっても良いかもしれません。
しかしアレルギー反応であった場合には、どれだけ清潔にしても完全に症状を抑えることはできないので投薬でコントロールしますので、あまり清潔さについて神経質にならずに対応してもらうことが大切です。
梅雨時期でも、近年は晴れ間であれば30度近くまで気温が上昇するようになってきました。そのため、外出時には猫たちのためにクーラーをつけて出かけるという方もいます。
しかしなぜか猫はクーラーが嫌いなようで、クーラーの効いていない部屋に行ってしまうということが多いようです。
どうやら猫は本当に室温が高く、暑くなっていなければクーラーの効いた部屋には入ってくれないようです。
そのため、室温が25度を超えるあたりからは注意して猫の食欲低下などが無いかを見た方が良いものの、実際は28度~30度以上にならなければクーラーの使用が必須ということはないでしょう。
猫の快適な環境
猫が快適に過ごせる温度は25度前後です。
そのため、28度あたりからはやや猫にとって不快感が出てくる温度になります。しかし、そのくらいの温度でクーラーを使用し始めてもあまり猫が喜んでくれないのが難しいところです。
また梅雨時期に問題になるのは、暑さよりもどちらかと言えば寒さでしょう。5月に暑い日が続いたと思えば、6月になり雨で気温が10度以上も下がるという日もあり、猫は寒さに弱いので、朝晩に寒い日があると体調を崩しがちです。
朝晩に冷え込む梅雨時期は、まだ暖房器具をしまわずにおきましょう。特に高齢の猫がいる家庭では、夏になるまでは電気カーペットやコタツなどもしまわずに、梅雨の肌寒さのある朝や夜には適宜使用してもらった方が良いです。
まとめ
梅雨時期になるとくしゃみや、涙目の猫の診察が増えるのですが、それがクーラーの使用と重なって症状が出ていることがあります。
急に気温の下がることもある時期なので、体調を崩して猫風邪が再発したり、アレルギー反応でクシャミや目の症状が出ます。
気温の上昇するタイミングではクーラーの使用が必要になりますが、もし猫のクシャミや涙目などが悪化するようであれば、エアコン清掃も実施したほうが良いでしょう。
しかしそれだけで良化するのは難しいケースが多いので、受診して治療を早めに開始することをお勧めします。
梅雨時期は暑さよりも寒さの方が猫にとってはストレスになるので、高齢の猫であれば特に、まだ暖房器具を片づけずに、適宜使用するようにしましょう。
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