子犬が耳を掻くのはなぜ?それはミミダニかも

子犬が耳をしきりと掻いて、頭をふっているのであれば、それは耳が痒いのかもしれません。
子犬の耳の中を見てみて、もし黒い耳垢(みみあか)がたくさん入っていたら、それはミミダニという寄生虫がついてしまっているのかもしれません。
ミミダニであった場合には、通常の耳掃除をしていても治りません。
またミミダニ以外でも、耳掃除が間違っていれば炎症が起きて、耳に痒みが出てしまうことがあります。
この記事では、子犬が耳を痒がっているサイン、耳を掻く原因、耳掃除のやり方について解説します。
子犬が耳を痒がっているサインとは
犬が後ろ足で耳を掻いている時は耳が痒いサインです。
また、子犬が頭をよく振っている、あるいは頭を床に擦る仕草があるときも、耳が痒い可能性があります。
痒みによって皮膚を掻き壊してしまうと、痛みに変わってしまうこともあります。
耳を触ると嫌がる、耳の周囲を触るとキャン!と鳴く場合には、耳の痒みから痛みへ悪化してしまっています。
そこまで悪化する前に、子犬が耳に痒みや違和感がある段階で、飼い主様には耳の変化に気づいていただけると良いです。
<子犬が耳を痒がっているサイン>
・耳を掻く
・頭をふる
・頭を床にこすりつける
・耳を触ると痛がる
耳を痒がっているサインがあれば、耳の中に垢(あか)が入っていないか確認してみましょう。
正常な子犬の耳は、ピンク色で、汚れはなく、垢は少ないです。
耳に問題が起きている時は、痒みがあり、汚れや赤み、臭いが出ています。
耳は繊細な部分なので、問題が起きると痛みに変わってしまいます。
小さな変化を見逃さないことが大切です。
<犬の正常な耳>
・耳垢(みみあか)は少ない
・ピンク色
・臭くない
子犬のミミダニとは
ペットショップやブリーダーさんから来たばかりの子犬は、たくさんの動物に囲まれた環境だったがゆえに、ミミダニなどの寄生虫がいる可能性が高くなります。
ミミダニ症は、ミミヒゼンダニや耳疥癬(みみかいせん)と言われる寄生虫が原因です。
このダニは耳の中で増えるので、耳が痒くなり、大量の黒い耳垢が出るのが特徴です。
耳の中を拭いても拭いてもすぐに黒い垢が出てくるので、耳掃除をしても翌日には垢だらけということになります。
だいたいの場合はミミダニが感染していれば耳を痒がる子犬が多いのですが、まれに痒みがあまり無い状況で、耳垢が大量にあるだけのパターンもあります。
痒みが無いからと言ってミミダニではないということはないので、耳垢をチェックすることが大切です。
<子犬のミミダニの症状>
・黒い耳垢が多い
・痒い
・痒くないこともある
ミミダニは人にもうつる?
ミミダニは人にうつることもある、と教科書的には書いてありますが、実際に子犬のミミダニによって、飼い主さんの皮膚に痒みが出ていることは見たことがありません。
自身も今までミミダニの治療をするにあたって、ミミダニがいる子犬を触っていることは何度もありますが、ミミダニで痒くなったことはありません。
そのためミミダニは酷い皮膚炎を人に起こすような寄生虫ではないと言えます。
ただ絶対に人にミミダニは人に感染しない、というわけではないので、子犬に黒い耳垢がたくさん出ている時には、すぐに病院へ行くことが大切ですし、ミミダニがいた時には、使い捨てのビニールグローブも使用するようにしましょう。
<子犬のミミダニは人にうつるか>
・ほとんどうつらない
・絶対にうつらないわけではない
子犬のミミダニの検査
子犬にミミダニがいるかどうかの検査はとても簡単で、耳垢のなかにダニが隠れているかどうかを顕微鏡(けんびきょう)で見ます。
ミミダニはとても小さいので、眼で見てダニがいるのをみつけることはとても難しいでしょう。
ミミダニは耳垢に隠れていて、一回の検査では見つからないこともあります。
成犬で問題になるようなダニはマダニというもので眼で見える大型のダニなので、子犬の耳につくミミダニとは別のダニです。
子犬のミミダニの治療
ミミダニはダニを駆除するお薬を使う必要があり、家で耳掃除をしていても治りません。
動物病院でミミダニに効く薬をもらう必要があります。
ミミダニに効くお薬は、背中に垂らすタイプが多いのですが、通常のノミダニ予防薬では効かないことがあるので、必ず動物病院で貰ったお薬を使用しましょう。
ミミダニが耳垢から見つからなくても、家に来たばかりの子犬で大量に黒い耳垢が出ている時には、予防的にミミダニ治療薬を使用することもあります。
また、あまりに痒みが強く耳を搔き壊しているときは、ばい菌が増えるのを抑えるために外耳炎治療薬も同時に耳に入れて治療します。
<子犬のミミダニの治療>
・ミミダニが駆虫できないノミダニ薬もあるので注意
・必ず動物病院で薬をもらう
・ミミダニの駆虫薬は背中に垂らすタイプが多い
・痒みが酷い時には外耳炎治療薬も併用する
子犬の耳掃除のやりかた
子犬の時期の耳掃除で大切なことは、子犬が耳掃除を嫌がらないようにすることです。
つまり、耳をきれいにすることよりも、耳を触られてイヤと思わないようにすることが何より大切ということです。
耳に触られることに慣れさせる
「耳掃除をしようとすると子犬に甘噛みされます」というのはとても多いご相談です。
基本的に子犬は頭上から手が来ると噛もうとします。
本能的なものなので、子犬の時期はそのような頭の上から多く撫でるのは止めて、なるべく噛まれないように背中や肩などをサラっと触るようにするのが大切です。
子犬を前に向けて、飼い主さんが後ろに座り、子犬の肩をかるく支えて耳を触ります。
するとだいたいの子犬は手を甘噛みしてくるので、噛まれないようにするっと背中へ手を戻しましょう。
子犬さんが振り返って飼い主さんのほうを向いてしまうと噛まれてしまうので、飼い主さんの足の間に子犬をオスワリさせておくのが良いでしょう。
押さえつけるとイヤ!となってしまうので、耳を触られても噛まれなければOKとして最初はすぐに終わりにしましょう。
耳を触った後に「良い子だね」と声掛けをして、ご褒美があればあげると良いでしょう。
耳を触られた後に褒められる、良いことがある、という経験を積んでいくことが子犬の時期は大切で、それをクリアしてから耳を掃除を始めましょう。

よくある状況は、耳の穴を綿棒などで掃除しようとして汚れを耳の奥に押し込んでしまって、逆に外耳炎を引き起こしてしまいます。
柔らかいコットンに犬用のイヤークリーナーをつけて、目で見える所つまり耳の外側を優しくコットンなどでふき取りましょう。
慣れてきたら、耳の穴にイヤークリーナーを数滴入れて、外側からモミモミして、あとは犬が耳を降ることでクリーナーの液体と垢を外に出してもらって、出てきたものをふき取れると良いです。
ただ、液体を耳に入れられるのは、犬にとって気持ち悪い感覚ではあることが多いので、もしあまりに嫌がる場合には外側を拭くだけの耳掃除にとどめましょう。
また、外耳炎になっている時、つまり耳垢がとても多い時や赤みや痒みがある時は、家での耳掃除では状態が悪化するので、すぐに動物病院に見せましょう。
【おすすめイヤークリーナー】犬猫用 ノルバサン オチック 118ml
<子犬の耳掃除>
・まずは耳を触られることに慣れる
・耳の外側だけ拭く
・耳の穴に綿棒はいれない
・耳の穴をぐりぐり拭かない
・外耳炎があるときは家で耳掃除はしない
まとめ
子犬が耳を掻くしぐさが多く、黒い耳垢がたくさん出ているようであれば、ミミダニに感染しているかもしれません。
ミミダニは家で耳掃除をしていても治ることはなく、悪化していきます。
耳垢に気づいたらすぐに動物病院に連れて行って治療してもらいましょう。
家での耳掃除は、まず子犬が耳に触られることに慣れる、というのを一番に考えて無理に耳掃除しないようにしましょう。
耳に触られた後に良いことがあるという経験を積んだあとに、耳を優しく拭く耳掃除を開始してください。


松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ

最新記事 by 松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ (全て見る)
- 子犬が耳を掻くのはなぜ?それはミミダニかも - 2025年3月12日
- 猫は痛いとどうなるの?痛みの原因とサインを知ろう - 2025年3月7日
- 猫にも食物アレルギーがある?症状と注意点について - 2025年2月17日