猫の耳にブツブツができる!秋にも蚊にはご用心
近年では夏は気温が高すぎるために蚊の活動性が低下して、秋になると蚊が活発になります。
そして蚊に刺されるのは人だけではなく、猫も蚊に刺されて皮膚炎が起きてしまうのをご存じでしょうか?
愛猫の耳や鼻すじに、もしブツブツとした湿疹ができていたら、それは蚊による皮膚炎かもしれません。
外に出ないから大丈夫!ということはなく、室内でも蚊には刺されます。
猫も室内で蚊に刺されることが多く、しかも耳や鼻すじに限定してひどい痒みを感じるなら要注意です。
この記事では、猫の蚊に刺されによる皮膚炎について解説します。
猫の耳にブツブツができる
猫の耳や鼻すじにブツブツができて、そこ以外にブツブツや痒みはない、そして蚊の出る季節である5月~10月(地域にもよる)に発症しているということであれば、蚊に刺されて起きる蚊刺咬性過敏症(ぶんしこうせいかびんしょう)かもしれません。
猫の蚊刺咬性過敏症は、蚊に刺されることが刺激になってアレルギー反応を起こし、皮膚に炎症が起きる状態です。
猫の場合は、犬や人と違って、小さく膨らんだ場所に赤みが出ないことも多いですが、それでも炎症は起きています。
猫のブツブツがあまり赤くないので、人で見慣れた蚊に刺されの跡とは違い、まさか蚊のせいだとは思わない飼い主さまが多いです。
しかし猫も蚊にさされるのです。
猫の蚊刺咬性過敏症(ぶんしこうせいかびんしょう)の症状
猫が蚊に刺されやすいのが、耳と鼻すじ、そして時に肉球です。
この部分だけに、小さなハゲや、小さな凸凹、そして掻き壊したかさぶたなどがみられるなら、蚊刺咬性過敏症の可能性が高いです。
痒みは強く、掻き壊してしまうことも多いため、ばい菌が入ってジュクジュクしている場合もあります。
<猫の蚊に刺されの症状>
・赤みはあまり無いことが多い
・痒みは強いことが多い
・耳と鼻すじだけに多くブツブツがある
・小さくハゲが複数できている
・肉球にブツブツができることもある
・他の場所に皮膚炎はない
・掻き壊してグジュグジュになっていることもある
蚊刺咬性過敏症に似た他の原因
同じように耳や鼻に症状が出る皮膚炎としては、真菌症(カビが原因のもの)があります。
真菌(しんきん)とは、いわゆるカビのことで、皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)とも言われます。
発生部位が似ているので、真菌が皮膚にいないのかを確認するのはとても大切です。
カビによる皮膚炎は痒みが少なく、脱毛は小さなものからだんだんと広がっていき、フケが出るのが特徴です。
他にも、猫疥癬(ねこかいせん)という寄生虫によって起きる皮膚炎も耳に強い痒みが出ます。
猫疥癬ではフケが非常に多く、耳からまぶたのあたりまで皮膚炎が広がり、ブツブツではなくガサガサという表現がぴったりです。
また、猫の頭部に痒みが強く出る皮膚炎は多く、食物アレルギーや、ノミアレルギー、そのほかのアレルギーでも同じような場所に症状がでます。
ただし、上記のような皮膚炎では、耳や鼻以外にも顔全体や顎下、背中やお腹などにも症状が出ます。
<蚊以外の皮膚炎の原因>
・真菌症(皮膚糸状菌症)
・猫疥癬(ねこかいせん)
・各種のアレルギー性皮膚炎
猫の蚊刺咬性過敏症の検査
残念ながら、1つの検査をすれば蚊が原因だ!とわかるようなものではありません。
まず、本当に蚊に刺されたことが原因なのか、他に原因は無いのかを確認することが大切です。
基本的に、蚊に刺されたことが原因であるなら、皮膚炎は耳と鼻に集中していて、稀に肉球にも出ることはありますが、他の場所に症状はありません。
そのため、皮膚炎の発生個所をしっかりと確認することが大切です。
そして一般的な皮膚検査である、抜毛検査(ばつもうけんさ)、掻破検査(そうはけんさ)、テープ検査、スタンプ検査、ウッド灯検査、真菌培養検査(しんきんばいようけんさ)などを行います。
抜毛検査(ばつもうけんさ)
毛を抜いて、毛根や毛の中に問題が起きていないかを確認します。
これによって、真菌の菌糸がみつかれば皮膚糸状菌症であることがわかります。
またダニやヒゼンダニなどが見つかることもあります。
掻破検査(そうはけんさ)
掻破(そうは)とは、削り取るという意味があり、皮膚の表面を少し削り取って、皮膚のやや深い位置にいるダニなどがいないかを調べます。
猫では多くありませんが、ニキビダニなどが見つかることがあります。
検査のあとにうっすらと血が出るので、終わったあとはしっかりと消毒して止血します。
テープ検査とスタンプ検査
皮膚炎のある箇所に、セロハンテープか、スライドグラスを押し当てて、その部分の細胞やばい菌の有無を確かめます。
掻き壊している場合には、常在菌や炎症細胞が多く見えます。
ウッド灯検査
ウッド灯というのは、皮膚や毛にカビ菌がいる時に光るように調節された検査器具です。
そのため、暗い部屋でカビのいる部分にウッド灯をあてると独特の光り方をします。
ただし、必ずしも光るわけでないこと、カビ以外のものでも光ることから、これだけで決めるのではなく、他の検査の結果と合わせて判断します。
真菌培養(しんきんばいよう)
皮膚炎のある場所の毛を数本抜いて、専用の培地で真菌が生えるかを確かめます。
ただし、検査結果が出るまで1週間から2週間かかるので、かなり時間がかかります。
もし真菌が生えれば治療方針は大きくかわるため、重要な検査です。
猫の蚊刺咬性過敏症の治療
蚊に刺されないことが第一です。
外に出る猫では、蚊に刺されてしまうので、外に出さないことも大切です。
室内でも蚊には刺されますので、室内では猫にも問題のない蚊取り製剤を使用してもらうのが良いでしょう。
すでに痒みが強い場合が多いので、軟膏を塗って治療が開始されることが多いです。
しかし、多くの症例では軟膏だけでは痒みが治まらず、短期間のステロイドの飲み薬が使用されます。
ステロイドは猫では副作用が少なく、とても良い薬ですが、もし蚊以外の原因、カビやダニが原因であった場合には、皮膚炎が悪化していきますので、先の皮膚検査でそれらがいないことをしっかりと確認されます。
<猫の蚊に刺されの治療>
・塗り薬
・ステロイドの飲み薬
・他の原因がないことを確認してから開始する
猫が蚊に刺されることで増える危険
猫が蚊にさされることで起きるのは皮膚炎だけではありません。
蚊は犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)という怖い寄生虫も猫にうつします。
通称はフィラリアといわれ、犬の飼い主さんは耳慣れたワードですが、猫の飼い主さんでは知らない方もいます。
犬糸状虫というように、犬とつく名前のわりに、猫にも感染することがあり、猫の突然死の原因にもなっています。
犬糸状虫は、蚊に刺されることによって猫や犬に感染し、最終的には成長して心臓に寄生する細い白い糸のような寄生虫です。
犬では予防薬が浸透しており、だいたいの飼い主さんは予防薬を犬に投与しているので安全ですが、猫ではあまり有名ではないため、フィラリア予防薬を愛猫に投与している飼い主さんは少ない傾向にあります。
もし、愛猫が蚊刺咬性過敏症が出ているのであれば、それはフィラリア感染のリスクも高くなっていますので、猫用のフィラリア予防薬も投与するようにしましょう。
まとめ
猫の耳や鼻すじだけにブツブツができていたら、それは蚊刺咬性過敏症(ぶんしこうせいかびんしょう)が原因かもしれません。
蚊に刺されやすい耳と鼻だけにブツブツと痒みが出るのが特徴で、蚊の出る時期だけに症状が出ます。
そのほかの原因でも耳と鼻に皮膚炎がでることはあるので、皮膚の検査が大切です。
また、蚊に刺されることによって猫もフィラリア症になることがあるので、動物病院でフィラリア予防薬も投与するようにしましょう。
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