2024.05.07健康

若いラグドールの吐き気に注意!消化管好酸球性硬化性線維増殖症ついて

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ラグドール

若いラグドールで、元気や食欲はあるのに、吐く回数が多いなあ、体重も減ってきてしまったぞ、という時は特殊な病気かもしれません。

吐き気というのは、様々な病気のサインですが、若いラグドールで吐く回数があまりにも多い、体重が減ってくるという時には消化管の好酸球性硬化性線維増殖症(こうさんきゅうせいこうかせいせんいぞうしょくしょう)の可能性があります。

まだあまり解っていないことも多い病気ですが、診断を間違うと治療につながらないために、短命になってしまうことも。

ラグドールだけではないのですが、ラグドールに多い病気であるために、ラグドールの飼い主さんにはぜひ好酸球性硬化性線維増殖症を知っておいてもらいたいです。

しっかりと診断がつけば、治療することができる病気だからです。

 

若いのに吐く回数がとても多い猫は要注意

週に1回は必ず吐く、体重があまり増えない、だんだんと痩せていく、このようなケースでは毛玉で吐いているということではなく、明らかに何か体に問題が起きています。

 

<若い猫の吐き気の原因>

・異物の誤食

・先天性の内臓の問題

・アレルギー体質

・消化管好酸球性硬化性線維増殖症

 

若い猫では異物の誤食が多いので、頻回の嘔吐ではまず誤食を疑います。

しかし、毎週1回、あるいは複数回のペースで吐く、というコンスタントな嘔吐では、誤食の可能性は低くなります。

また、先天性の内臓の病気であった場合には、基本的には血液検査で肝臓や腎臓の数値に変化がでることが多いでしょう。

アレルギー体質がありそうであれば、低アレルゲン食を試験的に開始しますが、数カ月たってもやはり吐き気が出るということであれば、低アレルゲン食では解決できない問題ということになります。

何をしてみても、やはり吐き気が残るというラグドールさんでは、いよいよ消化管好酸球性硬化性線維増殖症が疑われます。

 

猫の消化管好酸球性硬化性線維増殖症とは

若い猫に多く、特にラグドールでの発症が多いとされる病気で、頻繁な吐き気が症状の代表です。

消化管、つまり胃や腸に、複数の瘤(こぶ)を形成するため食べ物がうまく通らなくなってしまいます。

そのために吐き気という症状が出ます。

 

猫の消化管好酸球性硬化性線維増殖症の症状

1日に何回も吐く、というよりは、コンスタントに数日に1回吐く、あるいは毎日1回吐くということが多いでしょう。

最初のうちは元気や食欲に問題はなく、ただ定期的に吐くので、「この子はよく吐く体質なのよ」と思っている飼い主さんも多いです。

だんだんと症状は悪化していくため、嘔吐だけではない以下のようなものも出てくるようになります。

 

<猫の消化管好酸球性硬化性線維増殖症の症状>

 ・慢性的な嘔吐

 ・体重低下

 ・食欲低下

 ・下痢

 ・元気消失

 

これらが全てが必発するわけではありません。

しかし、病気が進行するとどんどん症状が増えてきます。

重症になるまで元気は低下しないことが多いです。

次に猫の消化管の好酸球性線維増殖症の原因についてお話します。

 

猫の消化管好酸球性線維増殖症の原因と治療

原因はまだ解っていません。

好酸球という免疫に関連した細胞がたくさん増えているので、免疫異常があることは確かでしょう。

若い年齢で発症することや、ラグドールに多いという面もあるため、遺伝的な素因も関与していると考えられています。

そのために、治療は免疫を調節する、あるいは免疫を抑制するお薬が使用されます。

免疫を抑制するお薬の代表はステロイドです。

ステロイドには、長期使用で副作用が出ることもあるため、使用する量は最小に抑えたいのですが、少量では症状が再発してしまうものに関しては、他の免疫抑制剤を合わせて使うこともあります。

 

<消化管好酸球性線維増殖症の治療>

・ステロイド

・免疫調節薬

・外科手術

好酸球によって胃や腸にしこりができてしまって、食べ物が中を通ることができなくなってしまっている場合には、外科的にそのしこりを取り除くケースもあります。

猫の消化管好酸球性線維増殖症の検査

確定診断にはお腹を開けて、消化管にできてしまった瘤(こぶ)を取り、組織構造の変化や増えている細胞の種類を見る必要があります。

しかしお腹を開けるのは最終的な検査であり、最初は一般的な血液検査やレントゲン検査、超音波検査、除去食試験などを行います。

<検査項目>

・血液検査

・超音波検査

・レントゲン検査(場合によっては造影)

・除去食試験(アレルゲン除去フード)

・試験開腹(お腹を開けてみる)

・病理検査(細胞をみる検査)

年齢や症状、品種を含めて様々な検査の結果から総合的に判断します。

 

似た症状が出る病気

若いのに何度も吐いて、だんだんと体重が低下してきている場合、最初から消化管好酸球性線維増殖症を疑うことはありません。

吐き気は様々な原因によって発生するため、いくつもある原因のなかから、何が正解なのかを確認する必要があります。

 

<若い猫が定期的に何度も吐く病気>

・アレルギー体質(免疫介在性)

・猫伝染性腹膜炎

・先天性の消化器も問題

・先天性の肝臓の問題

・先天性の腎臓の問題

 

吐き気の原因として多いのは胃腸炎や毛玉などが若い年齢では多く、基本的には一過性で、その日は吐くけれども翌日には問題なくなる、というものが多いです。

定期的に吐くという場合には、一過性の問題ではなく、根本的に何か持続する問題が出ていると考えます。

猫の食物アレルギー(免疫介在性)との鑑別

2-3歳以降になれば、猫もアレルギーの症状がでることもあるため、元気や食欲があるけれども、吐き気が頻繁で、下痢や軟便を繰り返す、という場合にはなんらかの食物アレルギーがある可能性があります。

消化管好酸球性線維増殖症の初期には、消化管にできるしこりが明確でないこともあり、食物アレルギーとの鑑別は必須となります。

食物アレルギーの可能性を考えた時には、血液検査でアレルギー検査を行うこともありますが、猫の食物アレルギー検査結果が臨床症状と合わないこともあります。

そのため、除去食試験という、超低アレルゲン食の治療を2-3カ月実施して、症状が軽減するのかを確認することもあります。

また、食物アレルギーよりも免疫の異常が強くなってしまうと、消化管粘膜に免疫細胞が集まって、吐き気や下痢が続いてしまうことがあります。

こちらは消化管粘膜を採材して、細胞レベルで検査をすると診断することができます。

 

猫の伝染性腹膜炎との鑑別

頻回の嘔吐、下痢や軟便、食欲不振、体重の減少、元気消失、お腹のなかのしこりなどの症状で当てはまるものがあれば、猫伝染性腹膜炎(FIP)の可能性も念のために考えます。

この病気は、解りやすく診断できるケースと、症状が判然とせずなかなか診断が付かないケースがあります。

猫伝染性腹膜炎もお腹の中、消化管付近にしこりを作るので、消化管好酸球性線維増殖症と似ている部分があります。

試験開腹して、お腹のしこりを検査センターに提出し、その中にFIPウイルスが検出されればFIPの診断がつきます。

 

先天性の疾患との鑑別

生まれつき内臓に問題があると、かなり若いうちから定期的な吐き気というものが出ます。

また、この場合には血液検査で肝臓や腎臓、たんぱく質の値に異常値が出ることが多いので、消化管好酸球性線維増殖症との鑑別は付きやすいでしょう。

また先天性の内臓の疾患では、お腹の中にしこりができることはないので、その点も大きな違いとなります。

 

まとめ

ラグドールの消化管好酸球性線維増殖症について紹介いたしました。

あまりよく聞く病気ではなく、まだ解っていないことも多い病気です。

しかし、しっかりと診断され、治療が安定して維持されれば寿命を長くできます。

大きな問題は、診断が付く前にステロイド治療が開始されてしまっても症状が軽減されてしまうことです。

お腹にしこりが出来るという特徴から、腫瘍や癌だと誤診されることもあるようです。

ラグドールでなくても発症することはあるので、若いにもかかわらず吐き気が多いのであれば、この病気を思い出してもらえると幸いです。

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わたしたちは創立1974年以来、愛知県名古屋市内で動物病院ペットの健康管理をトータルサポートし続けています。当院は犬・猫をはじめとする小動物の診療を主体として、トリミング、しつけ教室、ペットホテル、通信販売など、さまざまなペットケアサービスをワンストップで展開しています。
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