2024.07.26健康

若いメインクーンだけじゃない？猫の肥大型心筋症の話

メインクーンやアメリカンショートヘア、ラグドールに多いと言われる心臓の病気に、肥大型心筋症（ひだいがたしんきんしょう）というものがあります。

これは心臓の病気で、遺伝子の異常が原因で発生するため治すことができず、若いうちから心臓病が進行していきます。

上記の猫種ではなくても、この病気になっている猫は案外多いのですが、猫は病気を隠してしまうために、飼い主さんが気づいたときにはひどい重症になっていることがほとんどです。

この記事では、難しい言葉や学術的な言葉をなるべく使わず、飼い主さんに解りやすく説明していきます。

猫の肥大型心筋症は、症状が出る前に診断と治療、管理をすることが大切なので、ぜひ猫と暮らす飼い主さんはこの病気を知っておきましょう。

猫の肥大型心筋症とは

猫の肥大型心筋症は、遺伝的（生まれつき）に心臓の筋肉が異常に分厚くなってしまう病気で、特にメインクーンやアメリカンショートヘア、ラグドールに多いと言われています。

しかし実際は他の猫種でも、あるいは日本猫（いわゆる雑種）でも検査をすれば肥大型心筋症であったということは多く、最近では人気猫種のマンチカンやスコッティシュフォールドでも見かけることが増えました。

肥大型心筋症は、心臓の筋肉が異常に分厚くなっててしまうため、心臓の中が狭くなってしまうのが問題になって、心臓の機能が低下していきます。

心臓の機能が低下すると、全身に血液を送る力が低下します。

そのため、疲れやすさや開口呼吸（口を開けてハァハァする）という症状が出てくるのです。

心臓の筋肉が分厚くなる変化は徐々にひどくなり、心臓の左房（さぼう）と呼ばれる場所が大きくなりすぎて、その中に血栓（血のかたまり）ができてしまったり、胸に水がたまったりして、命の危機を迎えます。

この段階で初めて飼い主さんが気づいて、動物病院に連れてくるということも多いです。

悪化する速さにはバラつきがあり、若いうちからとても悪くなってしまうケースもあれば、ゆっくりと悪化するケースもあります。

＜猫の肥大型心筋症＞

生まれつきの心臓の筋肉の病気
どんな猫でもなる可能性がある
初期では気づかれないことが多い
症状がでるころには命にかかわる状況になっている
進行はバラツキがある

猫の肥大型心筋症の症状

猫の肥大型心筋症は、初期のうちは飼い主さんからすると猫に何の変化もないように見えます。

心臓の筋肉が分厚くなっているだけで、最初のうちは猫が活動することに大きな問題が出ないためです。

ただ、実はこの時にも他の猫に比べたらあまり活発に遊ばない、あるいは夜の運動会が短いなど、ごくわずかな変化は出ているようです。

また少し遊んだだけでハアハアと口を開けて呼吸するというのも大切なサインです。

猫は基本的に開口呼吸（口で息をする呼吸）はしません。

重症になっていれば、元気や食欲がない、呼吸が安静時（眠りそうな時）でも早い、というような症状が出てきます。

このころには、胸に水がたまっていたり、あるいは心臓の中に血栓（血のかたまり）ができているということもあって、心臓病としては末期的な状態であることが多いです。

＜猫の肥大型心筋症の症状＞

無症状
運動をあまりしない
少しの運動でハアハアする
元気や食欲がない
安静時でも呼吸が早い

猫の肥大型心筋症の検査

無症状（見た目に何も問題がでていない）であるうちに肥大型心筋症を発見しておくことが、愛猫の心臓のケアを早く始めることができる大事なポイントです。

ただし、この病気の一番難しいところは、病院の一般的な身体検査でも診断がつけられず、肥大型心筋症を見つけるための特別な検査をしなければ解らないというところです。

通常の心臓の病気では、心臓の聴診（音を聞く）で異常が発見できることが多いのですが、肥大型心筋症の初期では心臓の音に問題が出ないことも多いので、無症状では発見が遅れてしまいます。

無症状の猫の肥大型心筋症を発見するためには以下のような検査が必要です。

＜猫の肥大型心筋症の検査＞

血液検査で心筋トロポニンを測定
血液検査でNt-proBNPを測定
心臓の超音波検査（心臓のエコー検査）
胸部レントゲン検査
心電図検査
血圧測定

上記の検査のうち、「これは肥大型心筋症でしょう」と診断できるのはエコー検査です。

エコー検査とは、人が妊娠している時にお腹のなかの赤ちゃんの様子を見ることができる検査と同じで、痛みなどがない良い検査です。

ただし、心臓のエコー検査は検査する獣医師の技量によってばらつきが出るため、あからさまな心臓の異常がなければ、診断できないこともあります。

また猫に横になった体勢でじっとしてもらう時間がやや長いのが猫に負担です。

その点、心臓が悪くなる時に多くなる心筋トロポニンや、BNPの検査は、血液検査で数値として評価できるので、検査する人の技量に左右されないのが良い点です。

ただ、高血圧など他の病気でも数値が高くなることがあるので、血液検査だけで猫の肥大型心筋症を診断することはできません。

心臓のエコー検査と合わせて肥大型心筋症の可能性を考えます。

無症状のうちは、レントゲン検査や心電図検査で猫の肥大型心筋症だ！ということはできませんが、他に問題が出ていないかどうかを判断するために実施することが多いです。

無症状であるならば健康診断で血液検査を行う際に、かかりつけの先生と相談のうえ、心臓の血液検査も一緒に測定してもらうのがおすすめです。

猫の肥大型心筋症の治療

猫の肥大型心筋症の悲しい特徴として、治すことができないという点があります。

治療を開始しても、基本的には心筋症が悪化するのを防ぐことができません。

早く見つけて治療を開始することの良い点は、少しでも心臓の働きを長持ちさせるための努力が出来る点です。

基本的に猫の肥大型心筋症は、飲み薬で治療を行います。

飲み薬を使用するかどうかは、いろいろな検査の結果によって担当獣医師が判断します。

たとえば、高血圧がある時には、血圧を下げるお薬を使用したり、心臓がバクバクと早く動き過ぎているのであれば、心臓の動きをスムーズにするためにバクバクを鎮めるお薬を使用します。

重症化してしまっていれば、胸やお腹に水がたまることがあるので、利尿薬（おしっこを増やすお薬）を使用します。

肥大型心筋症によって、心臓の一部が大きく膨らんでしまったときには、そこに血栓（血のかたまり）ができてしまうことがあります。

これが体のどこかに流れていってしまって、動脈をふさいでしまうと、命にかかわる事態になるので、予防的に抗血栓薬（血の塊ができにくくするお薬）も使用することがあります。

心臓の収縮力が低下してきている時には、心臓の収縮を助けるお薬を使用することもあります。

＜猫の肥大型心筋症の飲み薬＞

血圧を下げる薬
心拍を下げる薬
おしっこを出させる薬
心臓の収縮を助ける薬

【獣医師監修】松波動物メディカルのおすすめ商品はこちら

【犬猫用スケアクロウパンフェノンS 16.8g（140mg×120粒）サプリメント】

パンフェノンの原材料は、「フランス海岸松樹皮抽出物」「発酵ゴマ抽出物」の二つが入っている事が特徴です。

「フランス海岸松樹皮抽出物」はプロアントシアニジンというフラボノイドが含まれており、健康をサポートします。

また、「発酵ゴマ抽出物」にはセサミンが含まれています。

■お薬や他のサプリメントと併用ができます。
他のサプリメント（アガリクスなど）との併用も問題ありません。

■副作用がありません。
自然由来の成分を使った健康食品ですので、安心して与えることができます。

■小さい粒で食べやすい。

まとめ

猫の肥大型心筋症は無症状で数年経過し、飼い主さんが気づいた時には命に係わるほどの重症であることが少なくありません。

無症状で、しかも普通の診察では見つけることができない病気であるため、飼い主さんのほうから、健康診断として心臓の検査もしてほしい、と要望していただくのが大切です。

何も問題がないように見えても猫の肥大型心筋症はどんどん悪くなっていきます。

治すということができない病気であるからこそ、愛猫のために早め早めに発見し、ケアしていけると良いでしょう。

この記事を書いた人
最新の記事

松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ

わたしたちは創立1974年以来、愛知県名古屋市内で動物病院ペットの健康管理をトータルサポートし続けています。当院は犬・猫をはじめとする小動物の診療を主体として、トリミング、しつけ教室、ペットホテル、通信販売など、さまざまなペットケアサービスをワンストップで展開しています。